労務ニュース スマイル新聞
2019年10月23日 水曜日
令和元年10月23日第492号
年5日の年次有給休暇取得の義務化
「働き方改革」の一環として、労働基準法が改正され今年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日について、確実に取得させることが義務付けられました。
条件の該当する全ての従業員に対し、年5日の年次有給休暇の確実な取得のため、再度ポイントを確認していきましょう。
1.対象者
年次有給休暇が10日以上付与される全ての労働者が対象です。
法定の年次有給休暇付与日数が年10日以上の労働者に限ります。
対象労働者には、管理監督者や有期雇用労働者、パートタイマー等も含まれます。
2.年5日の時季指定義務
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時期を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
1)時季指定の方法
使用者は、時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を希望するよう努めなければなりません。
2)時季指定を要しない場合
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
3.年次有給休暇管理簿の作成と保存
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
4.就業規則への規定
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
5.罰則
上記2及び4に違反した場合には労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられることがあります。
「働き方改革」の一環として、労働基準法が改正され今年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日について、確実に取得させることが義務付けられました。
条件の該当する全ての従業員に対し、年5日の年次有給休暇の確実な取得のため、再度ポイントを確認していきましょう。
1.対象者
年次有給休暇が10日以上付与される全ての労働者が対象です。
法定の年次有給休暇付与日数が年10日以上の労働者に限ります。
対象労働者には、管理監督者や有期雇用労働者、パートタイマー等も含まれます。
2.年5日の時季指定義務
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時期を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
1)時季指定の方法
使用者は、時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を希望するよう努めなければなりません。
2)時季指定を要しない場合
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
3.年次有給休暇管理簿の作成と保存
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
4.就業規則への規定
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
5.罰則
上記2及び4に違反した場合には労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられることがあります。
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2019年10月 8日 火曜日
令和元年10月8日第491号
従業員間のパワハラ事案で企業が負う責任
1.パワーハラスメント(パワハラ)とは
厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の提言によると、パワハラとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」指します。具体的な行為類型は、(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)、(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)、(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する等)、(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる・仕事を与えない等)、(6)プライバシーの侵害(私的なことに過度に立ち入る)、の6種類とされています。
2.パワハラ事案における加害行為の違法性の評価
職場におけるパワハラは業務上の指導との線引きが難しく、違法性については、当該言動が正当な教育指導等と評価できるかという観点から検討することになります。
正当な教育指導等と評価できるかは、(1)指導を行う必要性、(2)言動内容(人格非難や侮辱的な内容を含む)、(3)回数(執拗さ)、(4)態様(多数人の面前で行う、閉鎖環境で行う、指導後のフォローの有無等)、(5)日常的な関係性(信頼関係構築の有無)、等に基づき判断されます。注意や叱責の度合いが社会通念に照らして許容されるものであるか、という観点から判断されます。
3.パワハラに対する法的責任
(1)民事上の不法行為責任(民法第715条第1項)...民法上、従業員が「職務の執行につき」第三者に損害を与えた場合、使用者である企業も使用者責任として、加害者の従業員とともに損害賠償責任を負います。
(2)債務不履行責任...企業は労働者に対し、労使間の雇用契約に基づく付随義務として、労働者の労働環境を調整し、快適な環境を提供する義務があります。したがって、パワハラを認知したにもかかわらず放置したような場合は、この義務を怠ったものとして債務不履行責任を負うことがあります。
(3)労災補償責任...企業がパワハラを放置ないし黙認したことで労働者が精神疾患等のメンタル不全を招来した場合、仮に企業に過失がなくとも、労災補償責任を負うことになります(無過失責任)。
企業と職場環境を守るため、パワハラを防止し、万が一起こってしまった場合も適切な事後対応をしましょう。
1.パワーハラスメント(パワハラ)とは
厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の提言によると、パワハラとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」指します。具体的な行為類型は、(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)、(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)、(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する等)、(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる・仕事を与えない等)、(6)プライバシーの侵害(私的なことに過度に立ち入る)、の6種類とされています。
2.パワハラ事案における加害行為の違法性の評価
職場におけるパワハラは業務上の指導との線引きが難しく、違法性については、当該言動が正当な教育指導等と評価できるかという観点から検討することになります。
正当な教育指導等と評価できるかは、(1)指導を行う必要性、(2)言動内容(人格非難や侮辱的な内容を含む)、(3)回数(執拗さ)、(4)態様(多数人の面前で行う、閉鎖環境で行う、指導後のフォローの有無等)、(5)日常的な関係性(信頼関係構築の有無)、等に基づき判断されます。注意や叱責の度合いが社会通念に照らして許容されるものであるか、という観点から判断されます。
3.パワハラに対する法的責任
(1)民事上の不法行為責任(民法第715条第1項)...民法上、従業員が「職務の執行につき」第三者に損害を与えた場合、使用者である企業も使用者責任として、加害者の従業員とともに損害賠償責任を負います。
(2)債務不履行責任...企業は労働者に対し、労使間の雇用契約に基づく付随義務として、労働者の労働環境を調整し、快適な環境を提供する義務があります。したがって、パワハラを認知したにもかかわらず放置したような場合は、この義務を怠ったものとして債務不履行責任を負うことがあります。
(3)労災補償責任...企業がパワハラを放置ないし黙認したことで労働者が精神疾患等のメンタル不全を招来した場合、仮に企業に過失がなくとも、労災補償責任を負うことになります(無過失責任)。
企業と職場環境を守るため、パワハラを防止し、万が一起こってしまった場合も適切な事後対応をしましょう。
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