労務ニュース スマイル新聞

2019年9月23日 月曜日

令和元年9月23日第490号

治療と仕事の両立支援助成金


1.両立支援助成金は環境整備コースと制度活用コースの2種類
 治療と仕事の両立支援助成金は、事業者の方が労働者の疾病の特性に応じた治療と仕事の両立支援制度を導入、または適用した場合に事業者が費用の助成を受給できます。
 環境整備コースは、事業者が両立支援環境整備計画を作成し、計画に基づき制度の導入を行い、かつ、両立支援コーディネーターを配置した場合に費用を助成します。助成金額は1企業当たり将来にわたり1回を限度とし一律20万円です。
 制度活用コースは、事業者が両立支援制度活用計画を作成し、計画に基づき両立支援コーディネーターを活用し、両立支援制度を用いた両立支援プランを策定し、実際に適用した場合に費用を助成します。助成金額は環境整備コースと同様に一律20万円です。ただし、対象労働者が有期契約の場合、対象労働者の雇用期間に定めのない場合、将来にわたりそれぞれ1回ずつ助成されます。
2.両立支援はなぜ必要?
 社員が病気になってしまった時、無理なく働き続けてもらうためにはどうしたらよいでしょうか?大切な人材に辞められるととても困りますね。
働く世代で病気の人は大変多く、病気を理由に1ヵ月以上休業している労働者がいる企業の割合はメンタルヘルスが38パーセント、がんが21パーセント、脳血管疾患が12パーセントです。仕事を持ちながら、がんの治療で通院している人は、32.5万人もいるのです。
そして、診断技術や治療方法の進歩から、かつては「不治の病」であった病気も生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化しつつあります。
 病気になっても働き続けたいとする人は92.5パーセント。生計を維持するためや治療費のためはもちろんですが、自分の仕事に期待してくれる人々がいることは、病気と闘う励みになり、生きがいにもなります。
3.両立支援は事業者・働く人ともにメリット
 両立ができると、貴重な人材資源の喪失が防げ、継続的な人材の確保や定着につながります。また、労働者のモチベーションアップから労働生産性が維持・向上され、健康な経営が実現されることでしょう。働く人は治療に関する配慮が受けられ、病気の悪化を防ぎ治療を受けながら仕事が続けられます。何よりも継続して収入が得られ、生活への安心感が生まれます。ひいては仕事による社会貢献や自己実現につながるでしょう。
助成金をうまく活用して、安心できる職場づくりを行いましょう。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2019年9月 8日 日曜日

令和元年9月8日第489号

自転車事故について

1.高額な損害賠償
 自動車やオートバイ等の車両を事業に使用しておられる事業所は多いことでしょう。全ての車両は自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)への加入が義務付けられており、交通事故等のいざという時に備えていなければなりません。
 ところが「自転車」には、保険への加入義務は現在ありません。ただし2015年に兵庫県の条例で自転車保険の加入が義務付けられて以降は、全国の自治体で自転車保険の加入を義務付ける動きがあります。
 2008年、11歳の小学生が自転車で走行中に62歳の女性に衝突、頭を強く打った女性はその後意識が戻らず、2013年には神戸地裁が少年の母親へ9,521万円の損害賠償金の支払を命じています。しかし少年の母親は自己破産を申請し、被害者側は慰謝料等の支払を受けることができませんでした。他にも、高校生が自転車で走行中に同じく自転車で走行していた24歳の男性と衝突、男性に言語機能喪失の障害が残り、9,266万円の損害賠償の判決認容額が出ています。
2.加害者になったら
 一般的に自転車保険の補償範囲は、個人賠償責任保険と傷害保険をセットにしたものがほとんどです。個人賠償責任保険は、被保険者が日常生活において偶然な事故で他人を死傷させたり、他人の物に損害を与えたりした結果、法律上の損害賠償責任を負うことによって被った被害を補償します。支払限度額は保険商品によって異なりますが、1億円や無制限など、上記のような高額の損害賠償に対応できるものも存在します。
3.被害者になったら
 自転車同士の事故の被害者となれば、当然に被害者は加害者に損害賠償を請求するわけですが、加害者が適切な保険に加入していない場合、十分な補償を得ることが難しかったり、自分自身の過失分の金銭を受け取ることができなかったりします。
そういった場合は被保険者自身の偶発的外力による死亡や治療を主に補償する障害保険等での対応も考えられます。また自動車保険の人身傷害保険は原則として契約自動車に搭乗中の死傷や後遺障害を補償するものですが、自転車事故が補償範囲に入るオプションもあります。事前に確認しておきましょう。

 誰しもが交通事故の加害者にも被害者にもなる可能性があります。従業員や経営者のもしもの時に備えることは、非常に重要です。 

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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