労務ニュース スマイル新聞
2019年2月23日 土曜日
平成31年2月23日第476号
勤労統計調査の不正による影響
毎月勤労統計調査の不適切な取扱から、労働者の平均賃金額が現実とは異なる金額で集計されていました。これにより、平均賃金額を基準として支給されていた雇用保険、労災保険、船員保険、事業主向け助成金に影響が出ています。
雇用保険関係の給付金は、例えば基本手当(失業給付)であれば、基本手当の日額に給付日数を乗じて算出しますが、この基本手当の日額は上限額・下限額が定められており、その限度額を超える部分についてはカットされます。上限額・下限額は毎年、その時点で適用される上限額・下限額に、毎月勤労統計調査における労働者の平均賃金額の前々年度から前年度への変化率を乗じて算出されるので、この上限額・下限額が事実と異なる金額であれば、支給される金額も変わってくることになります。
毎月勤労統計調査は、事業規模に応じて実態調査を行っています。大企業については、全事業所を調査する決まりになっていたのですが、実際は、その3分の1程度の事業所数しか調査していなかったという不正が発覚しました。賃金の高い大企業の分が少なかったということは、当然、平均賃金も少ない額となります。従って、上記の雇用保険の基本手当の上限額が、実際より低く定められたことになり、受け取る給付額が少なくなる可能性が出てくるのです。
政府は調査をして追加給付を行うとしていますが、それには多くの難関があるようです。現在、該当者と追加給付金額を抽出するべく、コンピュータシステムを改修していますが、時間はかかりそうです。
下記の制度に影響している可能性があります。
1.雇用保険関係(2004年8月以降の受給)
基本手当、高年齢求職者給付、特例一時金、就職促進、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付、教育訓練支援給付、就職促進手当、政府職員失業者退職手当等
2.労災保険関係(2004年7月以降の受給)
傷病(補償)年金、障害(補償)年金、遺族(補償)年金、休業(補償)給付等
3.船舶保険関係(2004年8月以降の受給)
職務場災害による障害年金、遺族年金等
4.事業主向け助成金
雇用調整助成金の支給決定の対象となった休業期間の初日が2004年8月から2011年7月の間か、2014年8月以降の受給分
毎月勤労統計調査の不適切な取扱から、労働者の平均賃金額が現実とは異なる金額で集計されていました。これにより、平均賃金額を基準として支給されていた雇用保険、労災保険、船員保険、事業主向け助成金に影響が出ています。
雇用保険関係の給付金は、例えば基本手当(失業給付)であれば、基本手当の日額に給付日数を乗じて算出しますが、この基本手当の日額は上限額・下限額が定められており、その限度額を超える部分についてはカットされます。上限額・下限額は毎年、その時点で適用される上限額・下限額に、毎月勤労統計調査における労働者の平均賃金額の前々年度から前年度への変化率を乗じて算出されるので、この上限額・下限額が事実と異なる金額であれば、支給される金額も変わってくることになります。
毎月勤労統計調査は、事業規模に応じて実態調査を行っています。大企業については、全事業所を調査する決まりになっていたのですが、実際は、その3分の1程度の事業所数しか調査していなかったという不正が発覚しました。賃金の高い大企業の分が少なかったということは、当然、平均賃金も少ない額となります。従って、上記の雇用保険の基本手当の上限額が、実際より低く定められたことになり、受け取る給付額が少なくなる可能性が出てくるのです。
政府は調査をして追加給付を行うとしていますが、それには多くの難関があるようです。現在、該当者と追加給付金額を抽出するべく、コンピュータシステムを改修していますが、時間はかかりそうです。
下記の制度に影響している可能性があります。
1.雇用保険関係(2004年8月以降の受給)
基本手当、高年齢求職者給付、特例一時金、就職促進、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付、教育訓練支援給付、就職促進手当、政府職員失業者退職手当等
2.労災保険関係(2004年7月以降の受給)
傷病(補償)年金、障害(補償)年金、遺族(補償)年金、休業(補償)給付等
3.船舶保険関係(2004年8月以降の受給)
職務場災害による障害年金、遺族年金等
4.事業主向け助成金
雇用調整助成金の支給決定の対象となった休業期間の初日が2004年8月から2011年7月の間か、2014年8月以降の受給分
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2019年2月 8日 金曜日
平成31年2月8日第475号
商標(商品名・ロゴ)をめぐるトラブル
シンガポールのティラミスを真似た商品を、全く同じ商品名やロゴで売ろうとし、シンガポールの会社と関係のない会社が日本で商標登録したため、シンガポールの会社が困っている、という問題が少し前にありました。
シンガポールの会社は何もすることが出来ないのでしょうか?
1.商標が無効になる場合
問題となっている商標が、商標法第4条第1項が定める「商標登録を受けることができない商標」に当たる場合は無効となります。
具体的には、その商標が、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」(商標法第4条第1項第10号)に当たらないか。
又は「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの(第4条第1項第19号)」に当たらないかが、本件では問題となります。
2.本件事例の判断基準
本件で商標が無効になるかどうかは、その商標がどこまで日本国内やシンガポールで需要者の間に広く認識されていたのかがポイントとなります。
本件では、さらに、過去の裁判例に照らし、シンガポールの法人の商標と類似であることを知りながら、無断で出願したなどとして公の秩序又は、善良の風俗を害するおそれがある商標(第4条第1項第7号)ではないのかとの指摘もできそうです。
3.手間ひまを考えると先んじて商標登録を
特許庁に無効審判請求をするなどをし、その商標が「登録を受けることができない商標」に当たるかどうかを立証する手間・労力は多大です。
また、問題の会社が、シンガポールのティラミスヒーローに対し、商標権侵害で商標使用の差止や損害賠償請求をすることもあり得ます。商標は無効であるなどの反論が考えられますが、その対応には手間がかかります。
他者から自分の使っているロゴについて商標権侵害だと言われないようにするためには、他者に先んじて商標登録をしたり、すでに商標登録がされていないかしっかり調べたりしておくことが大切です。
シンガポールのティラミスを真似た商品を、全く同じ商品名やロゴで売ろうとし、シンガポールの会社と関係のない会社が日本で商標登録したため、シンガポールの会社が困っている、という問題が少し前にありました。
シンガポールの会社は何もすることが出来ないのでしょうか?
1.商標が無効になる場合
問題となっている商標が、商標法第4条第1項が定める「商標登録を受けることができない商標」に当たる場合は無効となります。
具体的には、その商標が、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」(商標法第4条第1項第10号)に当たらないか。
又は「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの(第4条第1項第19号)」に当たらないかが、本件では問題となります。
2.本件事例の判断基準
本件で商標が無効になるかどうかは、その商標がどこまで日本国内やシンガポールで需要者の間に広く認識されていたのかがポイントとなります。
本件では、さらに、過去の裁判例に照らし、シンガポールの法人の商標と類似であることを知りながら、無断で出願したなどとして公の秩序又は、善良の風俗を害するおそれがある商標(第4条第1項第7号)ではないのかとの指摘もできそうです。
3.手間ひまを考えると先んじて商標登録を
特許庁に無効審判請求をするなどをし、その商標が「登録を受けることができない商標」に当たるかどうかを立証する手間・労力は多大です。
また、問題の会社が、シンガポールのティラミスヒーローに対し、商標権侵害で商標使用の差止や損害賠償請求をすることもあり得ます。商標は無効であるなどの反論が考えられますが、その対応には手間がかかります。
他者から自分の使っているロゴについて商標権侵害だと言われないようにするためには、他者に先んじて商標登録をしたり、すでに商標登録がされていないかしっかり調べたりしておくことが大切です。
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