労務ニュース スマイル新聞

2018年4月23日 月曜日

平成30年4月23日第456号

持ち帰り残業の労働時間該当性


自宅での労働は労働時間に該当するのか
会社が労働時間短縮を促進するため退社時間を早めたため、帰宅後や休日に自宅で業務を処理する社員がでてきました。その社員に対し、時間外労働、深夜労働、休日労働として取扱い、賃金の支払い対象の労働時間に該当するのかという点が問題となりました。
労働基準法上「労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」と定義されています。
そこで、自宅で行った仕事が使用者の指揮命令下のもとになされたか否かを考える必要があります。自宅で「仕事」を行えばどのようなものでも当然に指揮命令下にあると判断されるものではありません。労働者が労務を提供する時間という事ではなく、使用者の指揮命令下で行われることが必要だからです。そうしますと、たとえば、自宅での業務がどのようになされているのかを考えてみます。
(1)テレビやパソコンで動画を観ながら行っている。
(2)いつ仕事を行うか、いつ仕事を終えるのかも本人次第である。
(3)食事をしながら、場合によってはビールを飲みながら作業を行う。
このようなことを踏まえると、自宅での「仕事」は、会社に出社した状態での勤務とは大きく異なることが明らかでしょう。そうすると、原則として、自宅で「仕事」を行ったとしても使用者の指揮命令下におかれたものとは言えないと考えられ、労基法上の労働時間ではないと考えられるため、時間外手当、深夜労働手当及び休日労働手当を支払う義務はないと考えます。
しかし、上司が部下に自宅で仕事を完成させるように指示した場合や、携帯電話や電子メールで上司が自宅にいる部下に対し、作業を指図している等の事実関係があった場合には、指揮命令下にあるものと考えられ、労働時間と判断されることが多くなります。もし、そのような社員がいる場合には、管理職等からどのような経緯で社員が自宅で仕事を行ったのかを確認する必要があります。
また、業務を持ち帰っていることを知りながら、その行為を黙認するような場合は、労働時間と判断される可能性が高くなり、社員が健康を害した場合の労災や損害賠償のリスクも使用者側に生じることがあるので注意しましょう。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2018年4月 8日 日曜日

平成30年4月8日第455号

有機契約労働者の無期転換について


1.現状
平成24年に改正された労働契約法第18条は、有期契約で働いている労働者を反復契約し5年を超えて雇用すると労働者の希望に基づき、無期契約での雇用に転換することが記載されています。平成25年4月以降に締結された有期契約から対象となり、早ければ今年の4月から無期転換が発生します。企業によっては、最近の求人状況等を考慮し有期契約を無期契約へ積極的に切替えることで労働者の囲い込みを進めている会社もでてきています。規模の大きな企業ではこうした積極的な雇用方針の変更を探る会社も見受けられますが、中小企業においては、無期転換への対応策がまだ定まらないでいる会社が多いのではないでしょうか。
正社員は既存の定年制度によって雇用の終了が決められていますが、「無期転換ルール」に基づき、雇用の終着点が無くなった労働者を企業側としてどう対応するかを定めなくてはなりません。自社の雇用状況をよく理解し役割と待遇に不合理性が無く、差異に対してはきちんと説明できる就業規則とする必要があります。第18条では無期契約期間とする旨の記載であり、他の条件の変更を要求しているものでないからと、無期転換者の労働条件を個別の雇用契約で定めたとしても、正社員の就業規則に劣る内容であれば第12条により雇用契約の定めは無効となり就業規則の定めが適用されます。
また、無期契約転換の申入れは口頭でも成立しますが、後々のリスク回避を思えば無期転換権について会社側から労働者へ事前に周知しておくべきです。有期社員用就業規則があればそこに、無ければ有期雇用契約書に無期転換申込の手続きを明記し周知しておくのが良いでしょう。労働者に無期転換申込の権利を放棄させる誓約書等を書かせたとしても、これは法の趣旨に反するものとして無効となる可能性が高いと思われます。

2.対応策
勿論、企業ごとに雇用されている労働者の状況によるところが大きいのでしょうが、一般的には、第二定年制を取入れている企業が多いです。その場合、第二定年を何歳で設ければよいかは、有期契約者の人数や年齢層さらに正社員の定年年齢との比較等をした上で定めることになります。場合によっては、第三・第四の定年制を設けることもあり得るやもしれません。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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