労務ニュース スマイル新聞

2017年11月23日 木曜日

平成29年11月23日第446号

期間の計算

1.問 題

契約書の中で、
「〇ヵ月間」という表記で期間を定めるとき、

例えば4月30日から3ヵ月間という場合、
契約の期間満了日はいつになるのでしょうか。


契約書を作成する上で普段あまり
意識していないかもしれませんが、

場合によっては契約違反に
問われかねない非常に重要な問題です。


では、
(1)7月29日

(2)7月30日

(3)7月31日

のどれが正解でしょうか。


2.法律の根拠

以下の条文が法律上の根拠となりますが、
これを使って考えてみましょう。

民法第140条(期間の起算)
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、
期間の初日は、算入しない。

ただし、
その期間が午前零時から始まるときは、
この限りでない。


民法第143条(暦による期間の計算)
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、
その期間は暦に従って計算する。

2 週、月又は年の初めから
期間を起算しないときは、
その期間は、最後の週、月又は年において
その起算日に応当する日の前日に満了する。

ただし、
月又は年によって
期間を定めた場合において、
最後の月に応当する日がないときは、
その月の末日に満了する。


3.解 答

まず起算日を考えます。

民法第140条の初日不算入の原則から、
5月1日が起算日となりそうですが、

通常契約書は事前に作成されるため、
4月30日の午前零時から
カウントすることが可能で、
同条但書により4月30日が起算日となります。


次に期間満了日です。

その応答(「対応」くらいの意)する日(7月30日)の
前日である7月29日が
3ヵ月の契約期間満了日となり、
正解は(1)です。


しかし、
4月30日に契約を結び、
その日から3ヵ月の契約とした場合、

午前零時から始まらないので、
初日不算入の原則により起算日が5月1日となり、

応答する日(8月1日)の前日である
7月31日が期間満了日となります。


さらに、
2月のように最後の月に応答する日が
ない場合には月末を満了する
(民法第143条2項但書)
ことや

月末が日曜日や国民の祝日等にあたるときで
取引をしない商慣習がある場合には
その翌日に満了する(民法第142条)ことがあり、

考えてみると意外に
難しいことがわかると思います。


この機会に契約書を見直して
みてはいかがでしょうか。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2017年11月 8日 水曜日

平成29年11月8日第445号

LGBT施策の推進について


1.近年の傾向

「LGBT」という言葉をご存じですか?

同性愛者のレズビアン(L)やゲイ(G)、
両性愛者のバイセクシャル(B)

心と体の性が一致しないトランスジェンダー(T)
の頭文字をとった総称です。


近年は国際人権法などの議論で
「SOGI」(ソジ)という呼称が使われ始めました。


日本では、「パートナーシップ証明」や
「パートナーシップ宣誓」、

「パートナーシップ登録」といった言葉が
ニュースにしばしば登場するようになりました。


2015年11月、同性カップルなどの
当事者の二人がパートナーであることを示す

パートナーシップ証明を渋谷区が発行するサービスを
開始したことは記憶に新しいと思います。


他に世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、
沖縄県那覇市、北海道札幌市などの
自治体も証明を発行しています。


2.雇用におけるハラスメント対策

1985年に制定された男女雇用機会均等法は、
2007年の改正には女性に対する

セクシュアル・ハラスメントだけでなく
男性に対するセクシュアル・ハラスメントも
対象としました。

2016年に改正された厚生労働省

「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に
関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」

においては、

「職場におけるセクシュアル・ハラスメントには、
同性に対するものも含まれる。

また被害を受けた者の性的志向又は性自認に関わらず、
当該者に対する職場における

セクシュアル・ハラスメントも、
本指針の対象となるものである。」

ということが明言されています。


したがって、

事業主が性的言動によって
就業環境が害されることのないよう

講ずべき措置には性的少数者に
対するものも含まれると解されます。


3.企業対応

取り組みとしては、性的指向や自認を事由とする
解雇・いじめ、自認する性別の服装での出勤の可否、

社員旅行、トイレ利用等への相談窓口の設置、
福利厚生の見直し等、が考えられます。

また、取り組まないと、人格権侵害としての
損害賠償義務やその使用者責任、

また職場環境配慮義務違反という法的リスクや、
当事者、非当事者の生産性やモチベーションの低下、

職場への忠誠心の減少という悪影響をもたらします。


従業員に気持ちよく働いて、
職場で能力を十分に発揮してもらえるよう、

是非とも管理職や労務担当者だけでなく、
社員にもきっちりとした正しい
基礎知識を学ぶ機会を設けましょう。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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