労務ニュース スマイル新聞
2017年7月23日 日曜日
平成29年7月23日第438号
年金受給資格期間が10年に短縮されます
1.これまでの経緯
低年金者の増加や、納付意欲低迷等の議論の中、
平成24年8月に、年金受給資格の「10年」への
短縮の法案が成立しました。
平成27年10月の消費税率引き上げと同時に
行うことになっていたところ大幅に延期され、
その後、平成28年11月「年金機能強化法改正法」が
可決・成立されました。
これにより期間短縮に係る施行期日が
平成29年8月1日となり、
平成29年9月分の年金から支給(支払いは10月)
されるようになります。
10年への短縮で、
老齢基礎年金の受給権者が約40万人、
特別支給の老齢厚生年金の受給権者は約24万人と、
合わせて64万人の方が
受給権を得ることができると言われていて、
日本年金機構は今年2月末から
7月にかけて対象者に年金請求書を送付しています。
2.受給資格者とは
では、実際に対象者となるとは、どういうことでしょうか。
まず、
ア)国民年金保険料送付済期間、
イ)国民年金保険料免除期間、
ウ)被用者年金加入記録
をあわせて10年から25年未満の方です。
また、前記のア)~ウ)の期間が10年ない場合、
合算対象機関(いわゆる「カラ期間。」
を探す必要がありますが、
なんとか120ヵ月分以上を確保したいところです。
なお、この合算対象期間は多岐にわたるため、
専門の社会保険労務士や、年金事務所、
「街角の年金センター」等に相談されるとよいでしょう。
3.後納や任意加入も活用しましょう
国民年金の毎月の保険料の納付期限は翌月末日ですが、
2年前まで遡って納付することができます。
さらに、平成27年10月から
平成30年9月までの3年間に限り、
過去5年分まで遡って
納めることができる後納制度があります。
また、年金受給期間10年を満たしていない方は
手続きを行うことによって最長70歳まで
国民年金に任意加入することができます。
振替加算や寡婦年金の対象に
なるかもしれないことについての
確認もしたいところです。
ただし、
10年加入の年金を受給していた人が
死亡した場合でも、
その遺族に遺族年金は支給されません。
あくまで今回の制度改正は、
老齢基礎年金などの老齢年金であり、
遺族年金、障害年金の受給要件に変更はありません。
企業の従業員の方から、質問があった場合、
適宜相談にのれるよう準備できればよいでしょうし、
また身近な専門家を活用してみては如何でしょうか。
1.これまでの経緯
低年金者の増加や、納付意欲低迷等の議論の中、
平成24年8月に、年金受給資格の「10年」への
短縮の法案が成立しました。
平成27年10月の消費税率引き上げと同時に
行うことになっていたところ大幅に延期され、
その後、平成28年11月「年金機能強化法改正法」が
可決・成立されました。
これにより期間短縮に係る施行期日が
平成29年8月1日となり、
平成29年9月分の年金から支給(支払いは10月)
されるようになります。
10年への短縮で、
老齢基礎年金の受給権者が約40万人、
特別支給の老齢厚生年金の受給権者は約24万人と、
合わせて64万人の方が
受給権を得ることができると言われていて、
日本年金機構は今年2月末から
7月にかけて対象者に年金請求書を送付しています。
2.受給資格者とは
では、実際に対象者となるとは、どういうことでしょうか。
まず、
ア)国民年金保険料送付済期間、
イ)国民年金保険料免除期間、
ウ)被用者年金加入記録
をあわせて10年から25年未満の方です。
また、前記のア)~ウ)の期間が10年ない場合、
合算対象機関(いわゆる「カラ期間。」
を探す必要がありますが、
なんとか120ヵ月分以上を確保したいところです。
なお、この合算対象期間は多岐にわたるため、
専門の社会保険労務士や、年金事務所、
「街角の年金センター」等に相談されるとよいでしょう。
3.後納や任意加入も活用しましょう
国民年金の毎月の保険料の納付期限は翌月末日ですが、
2年前まで遡って納付することができます。
さらに、平成27年10月から
平成30年9月までの3年間に限り、
過去5年分まで遡って
納めることができる後納制度があります。
また、年金受給期間10年を満たしていない方は
手続きを行うことによって最長70歳まで
国民年金に任意加入することができます。
振替加算や寡婦年金の対象に
なるかもしれないことについての
確認もしたいところです。
ただし、
10年加入の年金を受給していた人が
死亡した場合でも、
その遺族に遺族年金は支給されません。
あくまで今回の制度改正は、
老齢基礎年金などの老齢年金であり、
遺族年金、障害年金の受給要件に変更はありません。
企業の従業員の方から、質問があった場合、
適宜相談にのれるよう準備できればよいでしょうし、
また身近な専門家を活用してみては如何でしょうか。
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2017年7月 8日 土曜日
平成29年7月8日第437号
労災保険特別加入と適用関係について
1.1億総活躍社会の実現と労災保険特別加入
平成29年度、
1億総活躍社会の実現に向け、
政府は中小企業事業主の
労災保険加入を促進するとともに、
安全な作業環境の整備と公平な
競争を確保するため、
建築作業の一人親方の特別加入の
促進を掲げています。
労災保険は、
事業主に使用される労働者に対して
補償を行う制度ですから、
自営業者は補償の対象とはなりません。
しかし中小企業事業や個人事業主、
建築の一人親方等は、
勤務の実態が一般の労働者と大差なく、
労災保険法で保護すること必要がある場合があり、
これらの人々に労災保険への加入を
認めるのが特別加入制度です。
2.労災保険特別加入制度の種類と適用関係
労災保険は、
一般の労働者が対象となる部分と
特別加入部分とは補償内容の異なる部分があり、
保険制度の適用や実務処理も異なります。
(1)中小企業事業主の特別加入(第1種特別加入者)
常時300人、卸売サービス業は100人、
金融・不動産・小売業は50人以下の
労働者を使用する事業主であり、
労働者に係る保険関係が成立しており、
労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託する者です。
労働者を1人でも雇用する場合は対象となりますが、
年間を通じ延べ100日以上になることが必要です。
請負による建築事業の下請けを行う事業主の場合、
自らの直営工事は徴収法第7条の「有期一括」の
保険関係を成立させておき、
その関係に基づき事務組合に委託します。
これにより、元請工事の中に従事する場合と同じく、
自らの請負工事でも労働者と同様の
業務についても補償されるのです。
ただし、事業主としての業務は対象外です。
(2)一人親方等及び特定作業従事者(第2種特別加入者)
一人親方とは、
(ア)個人タクシー
(イ)建築業
(ウ)漁船
(エ)林業
(オ)医薬品配置
(カ)再生資源取扱業
(キ)船員の事業
などです。
いずれもアルバイト等を雇用する場合は、
延べ年間100日未満である必要があります。
製造業の一人社長は一人親方とはなりません。
特定作業従事者等とは、
(ア)比較的大規模の農業や大型機械を使用する農業
(イ)家内労働とその補助者で、プレス機を使用する作業等の従事者
(ウ)労働組合の常勤役員
(エ)家事使用人としての介護者等が該当しますが、
ボランティアは含まれません。
(3)海外派遣者(第3種特別加入者)
日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から
派遣されて海外支店等の事業に従事する労働者です。
1.1億総活躍社会の実現と労災保険特別加入
平成29年度、
1億総活躍社会の実現に向け、
政府は中小企業事業主の
労災保険加入を促進するとともに、
安全な作業環境の整備と公平な
競争を確保するため、
建築作業の一人親方の特別加入の
促進を掲げています。
労災保険は、
事業主に使用される労働者に対して
補償を行う制度ですから、
自営業者は補償の対象とはなりません。
しかし中小企業事業や個人事業主、
建築の一人親方等は、
勤務の実態が一般の労働者と大差なく、
労災保険法で保護すること必要がある場合があり、
これらの人々に労災保険への加入を
認めるのが特別加入制度です。
2.労災保険特別加入制度の種類と適用関係
労災保険は、
一般の労働者が対象となる部分と
特別加入部分とは補償内容の異なる部分があり、
保険制度の適用や実務処理も異なります。
(1)中小企業事業主の特別加入(第1種特別加入者)
常時300人、卸売サービス業は100人、
金融・不動産・小売業は50人以下の
労働者を使用する事業主であり、
労働者に係る保険関係が成立しており、
労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託する者です。
労働者を1人でも雇用する場合は対象となりますが、
年間を通じ延べ100日以上になることが必要です。
請負による建築事業の下請けを行う事業主の場合、
自らの直営工事は徴収法第7条の「有期一括」の
保険関係を成立させておき、
その関係に基づき事務組合に委託します。
これにより、元請工事の中に従事する場合と同じく、
自らの請負工事でも労働者と同様の
業務についても補償されるのです。
ただし、事業主としての業務は対象外です。
(2)一人親方等及び特定作業従事者(第2種特別加入者)
一人親方とは、
(ア)個人タクシー
(イ)建築業
(ウ)漁船
(エ)林業
(オ)医薬品配置
(カ)再生資源取扱業
(キ)船員の事業
などです。
いずれもアルバイト等を雇用する場合は、
延べ年間100日未満である必要があります。
製造業の一人社長は一人親方とはなりません。
特定作業従事者等とは、
(ア)比較的大規模の農業や大型機械を使用する農業
(イ)家内労働とその補助者で、プレス機を使用する作業等の従事者
(ウ)労働組合の常勤役員
(エ)家事使用人としての介護者等が該当しますが、
ボランティアは含まれません。
(3)海外派遣者(第3種特別加入者)
日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から
派遣されて海外支店等の事業に従事する労働者です。
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL