労務ニュース スマイル新聞
2016年1月23日 土曜日
平成28年1月23日第402号
フレックスタイム制度における欠勤の扱い等について
先日、電話相談で「フレックス制度を使用しているが、従業員が就労日に欠勤をした。月間の総労働時間は満たしているが、欠勤として処理してよいか?ちなみにコアタイムは設けていない。」という質問を受けました。
労働基準監督官が回答に対して常に参考にする「コンメンタール」の解説によると、年次有給休暇の出勤率の計算についての説明の中に次のように記載されていました。
1.コアタイムが設けられている場合
コアタイムはすべて欠勤し、フレキシブルタイムに一部労働した場合であっても、出勤率は、労働日単位で見ることとされているので、当該日は出勤したものとして取り扱わなければならない。
2.コアタイムを設けていない場合
コアタイムを設けていない場合には、出勤日も労働者の自由に委ねることとされている。この場合の「労働日」「出勤日」は、次のとおりである。
(1)清算期間における総労働時間労働している場合
当該清算期間における「全労働日」は当該労働者が実際に労働した日数とし、その全日出勤したものとして計算する。
(2)清算期間における総労働時間労働していない場合
当該清算期間における「全労働日」は所定休日を除いた日とし、そのうち当該労働者が労働した日を出勤日として計算することになる。
つまり、コアタイムを設けている場合には、所定労働日が定められていますが、コアタイムを設けていない場合は、法定休日を確保するために所定休日を定めることはできても所定労働日を定めることはでないという、この違いが一般的には理解されず大きな誤解となるようです。よって、コアタイムを設けていない場合は、月間の総労働時間を満たしているのであれば、賃金上での欠勤処置はすべきでないが、従業員管理上での欠勤措置は必要の範囲内で行えばよいということになるのです。
また、フレックス制度における総労働時間の過不足の処置について付け足すと、実労働時間が総労働時間を超えた場合には、その全額を当月に清算しなければ、労基法第24条に反することになりますが、実労働時間に不足があった場合、当月の賃金は全額支払った上で、不足する労働時間を次月の基準労働時間に上乗せすることは可能です。要するに先払いした賃金分を翌月に労働させることは問題ないという意味になります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
先日、電話相談で「フレックス制度を使用しているが、従業員が就労日に欠勤をした。月間の総労働時間は満たしているが、欠勤として処理してよいか?ちなみにコアタイムは設けていない。」という質問を受けました。
労働基準監督官が回答に対して常に参考にする「コンメンタール」の解説によると、年次有給休暇の出勤率の計算についての説明の中に次のように記載されていました。
1.コアタイムが設けられている場合
コアタイムはすべて欠勤し、フレキシブルタイムに一部労働した場合であっても、出勤率は、労働日単位で見ることとされているので、当該日は出勤したものとして取り扱わなければならない。
2.コアタイムを設けていない場合
コアタイムを設けていない場合には、出勤日も労働者の自由に委ねることとされている。この場合の「労働日」「出勤日」は、次のとおりである。
(1)清算期間における総労働時間労働している場合
当該清算期間における「全労働日」は当該労働者が実際に労働した日数とし、その全日出勤したものとして計算する。
(2)清算期間における総労働時間労働していない場合
当該清算期間における「全労働日」は所定休日を除いた日とし、そのうち当該労働者が労働した日を出勤日として計算することになる。
つまり、コアタイムを設けている場合には、所定労働日が定められていますが、コアタイムを設けていない場合は、法定休日を確保するために所定休日を定めることはできても所定労働日を定めることはでないという、この違いが一般的には理解されず大きな誤解となるようです。よって、コアタイムを設けていない場合は、月間の総労働時間を満たしているのであれば、賃金上での欠勤処置はすべきでないが、従業員管理上での欠勤措置は必要の範囲内で行えばよいということになるのです。
また、フレックス制度における総労働時間の過不足の処置について付け足すと、実労働時間が総労働時間を超えた場合には、その全額を当月に清算しなければ、労基法第24条に反することになりますが、実労働時間に不足があった場合、当月の賃金は全額支払った上で、不足する労働時間を次月の基準労働時間に上乗せすることは可能です。要するに先払いした賃金分を翌月に労働させることは問題ないという意味になります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2016年1月 8日 金曜日
平成28年1月8日第401号
今年10月から始まる社会保険適用基準の拡大
いよいよ今年10月からパートタイマー等短時間労働者の社会保険(厚生年金、健康保険)適用基準が拡大されます。現在の基準は、通常の労働者(正社員)の4分の3以上(週40時間勤務なら週30時間以上)勤務する者が社会保険加入対象ですが、新たな社会保険適用拡大の基準は、次のすべての基準を満たす必要があります。
(1)週20時間以上の勤務
(2)賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上)
(3)契約期間1年以上
(4)現行の適用基準で適用となる被保険者が501人以上(学生は適用除外)
現在、ご存じの通り所得税で「103万円の壁」、社会保険で「130万円の壁」があります。「103万円の壁」を超えると所得税が発生し配偶者控除も受けられなくなり勤務先の制度によっては配偶者手当も打ち切られる可能性があります。そして、健康保険の被扶養者や国民年金第3号から外れ、自ら社会保険料を支払う必要が出てくる「130万円の壁」が「106万円の壁」に変わろうとしています。
労働者のメリットとしては、健康保険に加入することにより、子が生まれた場合「出産手当金」(産前・産後休業期間)、病気やケガで会社を休んだ場合「傷病手当金」(休業後4日目から1年6ヵ月を限度)が標準報酬日額の3分の2支給されます。また、厚生年金に加入することにより、老齢年金額が増加しますし、障害にあった時の障害年金、亡くなった時の遺族年金等受けられる保障が増えます。
企業側としては、法案が審議されていた当時からパート労働者の多い流通、外食、医療・福祉関係の事業団体を中心に、社会保険料負担(平成24年3月厚労省の試算では事業主負担計800億円増)の重さに対し反対意見が多く出されていました。
今後、働き手側からの選択肢としては、(1)従来以上多く働いて年収を増やす(正社員を目指す)(2)労働時間を減らす(3)500人以下の会社へ転職が考えられます。ただし、近いうち(施行3年後適用要件の見直し)に適用基準(4)の人数は大きく下がり、該当企業が拡大し、加入対象となるパート等は増えていくと思われます。企業側としては社会保険料負担をカバーすべく「より多く働きたい」質の良いパート労働者の確保に向け「短時間正社員制度」等の制度構築も検討する必要があると考えます。
一方政府は、平成28年4月から4年間、現行の「130万円の壁」対策として、パート等に対して大企業で2%、中小企業で3%以上賃上げ・週5時間以上の勤務時間を増やした企業に助成金を支給する制度を始めます。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
いよいよ今年10月からパートタイマー等短時間労働者の社会保険(厚生年金、健康保険)適用基準が拡大されます。現在の基準は、通常の労働者(正社員)の4分の3以上(週40時間勤務なら週30時間以上)勤務する者が社会保険加入対象ですが、新たな社会保険適用拡大の基準は、次のすべての基準を満たす必要があります。
(1)週20時間以上の勤務
(2)賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上)
(3)契約期間1年以上
(4)現行の適用基準で適用となる被保険者が501人以上(学生は適用除外)
現在、ご存じの通り所得税で「103万円の壁」、社会保険で「130万円の壁」があります。「103万円の壁」を超えると所得税が発生し配偶者控除も受けられなくなり勤務先の制度によっては配偶者手当も打ち切られる可能性があります。そして、健康保険の被扶養者や国民年金第3号から外れ、自ら社会保険料を支払う必要が出てくる「130万円の壁」が「106万円の壁」に変わろうとしています。
労働者のメリットとしては、健康保険に加入することにより、子が生まれた場合「出産手当金」(産前・産後休業期間)、病気やケガで会社を休んだ場合「傷病手当金」(休業後4日目から1年6ヵ月を限度)が標準報酬日額の3分の2支給されます。また、厚生年金に加入することにより、老齢年金額が増加しますし、障害にあった時の障害年金、亡くなった時の遺族年金等受けられる保障が増えます。
企業側としては、法案が審議されていた当時からパート労働者の多い流通、外食、医療・福祉関係の事業団体を中心に、社会保険料負担(平成24年3月厚労省の試算では事業主負担計800億円増)の重さに対し反対意見が多く出されていました。
今後、働き手側からの選択肢としては、(1)従来以上多く働いて年収を増やす(正社員を目指す)(2)労働時間を減らす(3)500人以下の会社へ転職が考えられます。ただし、近いうち(施行3年後適用要件の見直し)に適用基準(4)の人数は大きく下がり、該当企業が拡大し、加入対象となるパート等は増えていくと思われます。企業側としては社会保険料負担をカバーすべく「より多く働きたい」質の良いパート労働者の確保に向け「短時間正社員制度」等の制度構築も検討する必要があると考えます。
一方政府は、平成28年4月から4年間、現行の「130万円の壁」対策として、パート等に対して大企業で2%、中小企業で3%以上賃上げ・週5時間以上の勤務時間を増やした企業に助成金を支給する制度を始めます。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL