労務ニュース スマイル新聞

2014年11月14日 金曜日

平成26年11月8日第373号

「多様な形態による正社員」の普及拡大について

 近年、非正規社員が増加しており、正規社員と比較して、賃金等労働条件が低く、雇用が不安定であり、能力開発の機会が乏しいことから、正社員としての雇用機会を希望するものも多くなっています。しかし、企業の人材活用の仕組みや働き方が異なるため、現状のままで非正規社員の正社員化をすすめることは、企業にとってだけでなく、非正規社員にとっても困難な場合が多いです。働き方の2極化を緩和し、ワークライフバランスと優秀な人材確保の為、職務、勤務地、又は労働時間を限定した「多様な正社員」の普及が厚生労働省により検討されています。

1.多様な正社員の効果的な活用が期待できるケース
(1)勤務地限定正社員
  ・育児や介護の事情で転勤が難しい者について就業機会の付与と継続
  ・改正労働契約法に基づく有期雇用から無期転換の受け皿として活用する。
  ・非正規雇用からの受け皿として活用する。
(2)職務限定正社員
  ・金融やIT等で特定の職務等、高度に専門的なキャリア形成が必要な職務に
  おいて、プロフェショナルとしてキャリア展開していく働き方として活用する。
  ・資格が必要な職務、同一企業内で他の職務と明確に区別できる職務に活用
  する。
  ・高度な専門性を伴わない職務に限定する場合、職務の範囲に一定の幅を持
  たせ円滑に活用する。
(3)勤務時間限定正社員
  ・育児等の事情で長時間労働が難しい者に、就業機会の付与と継続可能とす
  る。
  ・労働者がキャリアアップに必要な能力を習得する際に自己啓発のための時
  間を確保できる働き方として活用できる。
  ・勤務時間限定の働き方の前提として、職場内の適切な業務配分、長時間労
  働を前提としない職場づくりが必要である。

2.労働者に対する限定部分の明示とその効果
 転勤、配置転換の際の紛争の未然防止のため、職務や勤務地に限定がある場合には、限定の内容について明示することが重要である。又、企業にとっては優秀な人材を柔軟に確保できる効果がある。
 「限定された社員」の待遇及び社内体制の導入準備については、給与・昇任に関する取扱い等専門家を交えて、自社に応じた制度の設計をすることが必要となります。

(スマイルグループ 社会保険労務士)

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2014年11月14日 金曜日

平成26年10月23日第372号

「民法(債権法)改正」【契約ルールで消費者を保護】

 法制審議会の民法(債権関係)部会が平成26年8月26日に開催され「民法(債権関係)の改正に関する要項仮案」が決定されました。来年2月に法務大臣に正式に答申し法務省は来年の通常国会に民法改正案を提出する方針です。債権法の抜本改正は、明治29年に民法が制定されて以来、初めてで、消費者保護に軸足を置いた見直しになっています。

1.改正の目的
(1)民法を社会・経済の変化(現在の取引事情)に対応させること
(2)国民一般に分かりやすいものにすること
・判例ルールの明文化 
・不明確な条文の明確化
・書かれていない前提・原理・定義を補う

2.改正の主なポイント
(1)時効期間の統一・・・様々な時効期間を5年に統一。
(2)約款に関する規定を新設・・・契約成立後の一方的な内容変更を禁止など。
(3)意思能力の規定を新設・・・判断力が弱い人が結んだ契約を無効にできる。
(4)誤解していた契約は取り消し可能に。
(5)欠陥商品の修理・交換・減額などの請求・・・消費者の対処方法が広がる。
(6)敷金のルールの明確化・・・経年劣化の修繕は、借主に義務がない。
(7)連帯保証人の届出義務・・・個人が中小企業の連帯保証人になるためには公証人との面談が必要。但し、例外あり。
(8)殺傷事件などの損害賠償請求権を長期化・・・被害に遭ってから20年、損害賠償請求権を知ってから5年。
(9)法定利率を引き下げて変動制に・・・3%にして、3年に一度見直す。
(10)債権譲渡禁止特約の緩和・・・将来見込まれる収益を第三者に譲りやすくする。

3.身近なケースでは
(1)飲食店のツケ・・・時効1年→5年
(2)お金の貸し借り・・・時効10年→5年
(3)自動車保険料は値上げの可能性も・・・。
 法定利率の引き下げに伴い、交通事故等で生きていれば得られた利益(逸失利益)から、将来得られるはずだった利益(中間利息)を控除します。このときの「除額は法定利率による」(平成17.6.14最高裁第三小法廷判決)とされていますので、結果として、加害者が支払うべき補償額が増加することになります。 
(スマイルグループ 不動産鑑定士)

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2014年11月14日 金曜日

平成26年10月8日第371号

両立支援の制度づくり 「介護離職」回避のポイント2
 
 スマイル新聞第367号では「介護離職」回避のため、親の介護と仕事の両立支援の制度づくりについてご案内しました。今回は補足説明いたします。

1.自治体が実施する介護サービス
 市区町村の介護保険制度や介護サービスについての相談先を知らせる各自治体の窓口を把握しましょう。

【窓口】
・各地域包括支援センター
・市区町村の介護や福祉関係の担当課
・社会福祉協議会

【サービス例】
・緊急一時入所サービス ・在宅訪問歯科保健診療 ・家事介護援助 ・電話訪問
・緊急通報器貸し出し ・給食の配達 ・日常生活用具購入補助 ・リフォーム補助
・徘徊検索 ・はり、きゅう、マッサージ券配布 ・紙おむつ支給 ・寝具消毒感想
・出張理美容 ・話し相手 ・成年後見制度利用支援 ・健康教室 ・賃貸支援
・家族介護慰労金支給 ・火災報知器設置支援 ・介護タクシー券配布

2.制度拡充を検討する際のポイント
 企業が両立制度の拡充を検討するポイントとしては次のようなことがあります。
・勤務地限定の正社員制度を採用する。
・介護休業の分割取得を認める。
・時間単位の年次有給休暇を採り入れる。
・実家に週末帰省した従業員が月曜日の朝に実家から出社することができるように月曜日の始業時間を繰り下げられるようにする。
・1月当たりの上限を決めて半日単位での在宅勤務を可能にする。

3.将来の介護に備えて検討しておくべきこと
 以下のようなことを各従業員が用意し、「介護しながら働き続ける環境を作るのは自分である」と意識啓発し、各々が認識しておくことも重要です。
・親が望む介護はどういうものか、兄弟姉妹や親戚も含め介護の役割分担を考える。
・地域包括支援センターに足を運んでどんなサービスがあるのか調べておく。
・親の変化に気づいたら、すぐに連絡が入るよう実家の近隣の人とつながっておく。
・宅配弁当や電気ポットなどの見守りサービスの利用を検討する。
・廊下や風呂場に手すりをつけるなど日常生活上の安全を確保する。

人財の損失をしないように制度の作成をしましょう。

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