労務ニュース スマイル新聞
2014年6月 5日 木曜日
平成26年6月8日第363号
労働災害発生時に負う責任とリスク低減対策
労働災害は態様によりリスクの深刻さは異なりますが、死亡等の災害発生時は企業の社会的責任が厳しく追及されることもあります。そこで、今回は企業が負う責任とリスク低減対策をみていきましょう。
1.民事・刑事上の責任
(1)安全配慮義務
-使用者が従業員の安全や健康に配慮しなければならない義務
過労死や過労自殺を含む労働災害の場合、安全配慮義務違反があったとして、賠償損害額が高額になる傾向があります。
(2)使用者責任
-従業員が第三者に損害を与えた場合に使用者が負う責任
企業は人を使用して利益を得ているため、従業員使用により生じた損害についても企業に責任を負わせるという考えであり、企業側に過失がなくても責任を問われることもあります。
(3)労働安全衛生法を遵守する義務
労働災害における刑罰法規である労働安全衛生法では災害防止のため、多くの措置義務を課し、義務違反には罰則規定の適用があります。そのため、労働災害が起こっていない場合でも、法違反により刑事責任が問われることもあります。
(4)両罰規定による責任
労働安全衛生法違反の場合、違反した該当者だけでなく、法人等も罰せられます。
以上の責任以外にも、労働災害が発生時は機械設備や足場、建物等の使用停止命令などの行政処分を受けるリスクや労働者に対しての休業補償責任、社会的な信用や評価が失われる社会的リスクがあります。
2.労働災害の発生リスクを低減するためのポイント
(1)経営幹部がリスク感覚を持つ
自社の災害リスクを認識し、普段から対策を講じることが大切です。そのためにも、経営幹部がリスク感覚を養っていることが必要です。
(2)安全衛生管理規程の整備
緊急時に冷静に対応できるよう安全衛生管理規程で危機管理体制を定めましょう。
(3)非定常作業のリスク軽減対策
通常作業と異なる作業をされる際に労働災害が起こるリスクは非常に高く、非定常時においても所定の安全衛生管理体制の下、作業管理することが求められます。そのため、非定常作業は許可制や届出制にし、作業計画・作業手順をしっかりと把握し、リスクアセスメントを行なうことが大切です。
以上を踏まえ、安全な職場作り、労働災害のリスクヘッジをしていきましょう。
労働災害は態様によりリスクの深刻さは異なりますが、死亡等の災害発生時は企業の社会的責任が厳しく追及されることもあります。そこで、今回は企業が負う責任とリスク低減対策をみていきましょう。
1.民事・刑事上の責任
(1)安全配慮義務
-使用者が従業員の安全や健康に配慮しなければならない義務
過労死や過労自殺を含む労働災害の場合、安全配慮義務違反があったとして、賠償損害額が高額になる傾向があります。
(2)使用者責任
-従業員が第三者に損害を与えた場合に使用者が負う責任
企業は人を使用して利益を得ているため、従業員使用により生じた損害についても企業に責任を負わせるという考えであり、企業側に過失がなくても責任を問われることもあります。
(3)労働安全衛生法を遵守する義務
労働災害における刑罰法規である労働安全衛生法では災害防止のため、多くの措置義務を課し、義務違反には罰則規定の適用があります。そのため、労働災害が起こっていない場合でも、法違反により刑事責任が問われることもあります。
(4)両罰規定による責任
労働安全衛生法違反の場合、違反した該当者だけでなく、法人等も罰せられます。
以上の責任以外にも、労働災害が発生時は機械設備や足場、建物等の使用停止命令などの行政処分を受けるリスクや労働者に対しての休業補償責任、社会的な信用や評価が失われる社会的リスクがあります。
2.労働災害の発生リスクを低減するためのポイント
(1)経営幹部がリスク感覚を持つ
自社の災害リスクを認識し、普段から対策を講じることが大切です。そのためにも、経営幹部がリスク感覚を養っていることが必要です。
(2)安全衛生管理規程の整備
緊急時に冷静に対応できるよう安全衛生管理規程で危機管理体制を定めましょう。
(3)非定常作業のリスク軽減対策
通常作業と異なる作業をされる際に労働災害が起こるリスクは非常に高く、非定常時においても所定の安全衛生管理体制の下、作業管理することが求められます。そのため、非定常作業は許可制や届出制にし、作業計画・作業手順をしっかりと把握し、リスクアセスメントを行なうことが大切です。
以上を踏まえ、安全な職場作り、労働災害のリスクヘッジをしていきましょう。
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2014年6月 5日 木曜日
平成26年5月23日第362号
割増賃金の計算の基礎単価について
割増賃金を計算するとき、どの手当を計算に含めていますか?一般的には労働基準法第37条第5項で定められた7種類の賃金(家族手当、通勤手当、子女教育手当、別居手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金)以外の賃金を割増賃金の計算の基礎に含めているのではないでしょうか。しかし、それについては誤解しがちなケースもあります。
誤解1
労基法第37条第1項及び第4項では、割増賃金は「通常の労働時間の賃金」を基礎とすると規定されており、上記7種類の手当の名称以外は全て割増賃金の計算の基礎に含まなければならないわけではありません。例えば、会社によって「扶養手当」など、名称は異なるけれど、実質的には家族手当と同様の手当を支払っていることがあります。このような場合は、名称にとらわれず実質的に判断し、割増賃金の計算の基礎から除外することができます。
また、労基法で定められた7種類の賃金であっても、例えば
(1)扶養家族の有無やその人数に関わらず一律で支払われている家
族手当
(2)実際の通勤距離に関わらず1日○○円と決めて支払われている
通勤手当
(3)賃貸住居者には○万円、持ち家居住者には○万円と決めて支払
われている住宅手当
など、従業員に一律に支給されているものについては除外することはできません。
誤解2
深夜労働の場合、所定労働時間の労働であっても2割5部の割増賃金を支払わなければなりません。例えば賃金に「深夜労働手当」などという名目で深夜労働の割増分(2割5分)を支払っている場合、上記7種類の割増賃金から除外できる手当には当てはまらないので、時間外労働や休日労働の割増賃金の算定の基礎にこの割増賃金を含めて計算しなければならないと考えてしまいがちです。ですが、これはあくまでも深夜労働に対する割増賃金であり、労基法第37条に定める「通常の労働時間の賃金」には含みませんので、割増賃金の計算の基礎から除外することとなります。
間違いやすい話ですが、通常はAという作業をして賃金を支払われている労働者が、特殊作業手当が支払われるBという作業を時間外に行った場合、その時間外労働に対する割増賃金の計算の基礎は、作業に対する賃金となり特殊作業手当を含めた賃金が計算の基礎となりますので、ご注意ください。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
割増賃金を計算するとき、どの手当を計算に含めていますか?一般的には労働基準法第37条第5項で定められた7種類の賃金(家族手当、通勤手当、子女教育手当、別居手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金)以外の賃金を割増賃金の計算の基礎に含めているのではないでしょうか。しかし、それについては誤解しがちなケースもあります。
誤解1
労基法第37条第1項及び第4項では、割増賃金は「通常の労働時間の賃金」を基礎とすると規定されており、上記7種類の手当の名称以外は全て割増賃金の計算の基礎に含まなければならないわけではありません。例えば、会社によって「扶養手当」など、名称は異なるけれど、実質的には家族手当と同様の手当を支払っていることがあります。このような場合は、名称にとらわれず実質的に判断し、割増賃金の計算の基礎から除外することができます。
また、労基法で定められた7種類の賃金であっても、例えば
(1)扶養家族の有無やその人数に関わらず一律で支払われている家
族手当
(2)実際の通勤距離に関わらず1日○○円と決めて支払われている
通勤手当
(3)賃貸住居者には○万円、持ち家居住者には○万円と決めて支払
われている住宅手当
など、従業員に一律に支給されているものについては除外することはできません。
誤解2
深夜労働の場合、所定労働時間の労働であっても2割5部の割増賃金を支払わなければなりません。例えば賃金に「深夜労働手当」などという名目で深夜労働の割増分(2割5分)を支払っている場合、上記7種類の割増賃金から除外できる手当には当てはまらないので、時間外労働や休日労働の割増賃金の算定の基礎にこの割増賃金を含めて計算しなければならないと考えてしまいがちです。ですが、これはあくまでも深夜労働に対する割増賃金であり、労基法第37条に定める「通常の労働時間の賃金」には含みませんので、割増賃金の計算の基礎から除外することとなります。
間違いやすい話ですが、通常はAという作業をして賃金を支払われている労働者が、特殊作業手当が支払われるBという作業を時間外に行った場合、その時間外労働に対する割増賃金の計算の基礎は、作業に対する賃金となり特殊作業手当を含めた賃金が計算の基礎となりますので、ご注意ください。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
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