労務ニュース スマイル新聞

2013年7月 9日 火曜日

平成25年7月8日第341号

退職と解雇
 
 人が会社に雇用されて労働契約が結ばれる行為も民法における契約行為の一種ですが、その労働契約が終了する事由として「退職」と「解雇」があります。時に「退職」と「解雇」が混同して使用される場合がありますので、次に整理します。
 退職...労働者側から使用者に対し一方的な意思表示によって労働契約を終了すること。
 解雇...使用者側から労働者に対し一方的な意思表示によって労働契約を終了すること。
 また、退職日を指定するのは、あくまでも労働者であり使用者ではありません。労働者・使用者双方が「退職日」等合意することによって労働契約が終了する場合は「合意解約」となります。
  「解雇」をする場合、解雇予告(労基法20条)が必要です。「退職」する場合は、会社の規定にもよりますが2週間前の申出等(民法627条1項)が必要です。

 では、労働者側からの退職の申出がされた場合、その申出は何時でも撤回することができるのでしょうか。
 判例では、「退職の意思を撤回できるのは、退職の意思を承認する権限ある者が承諾するまでなら、退職の意思は撤回できる」とされています。
 言い換えると、人事権のある人物が退職を承認すれば、労働者側の都合で、使用者側の同意なく退職の撤回はできなくなります。退職撤回を認めないとなれば、その退職の承認が何時であったかがポイントとなります。後日のトラブル回避の為には書面で退職の申出を受け、承認後は退職受理通知などを残すことが賢明です。

 退職と解雇の取り扱いについて触れましたが、労使ともに通常は長期的な継続雇用を望むのが一般的です。「退職」「解雇」について現実的な問題点は多数ありますが、今後も会社の持続的な発展をするためには、労使の信頼関係を重視されることを望み、武田信玄の有名な言葉を引用します。
<人は城、人は石垣、人は堀、情は味方、仇は敵なり>
 この言葉は「どれだけ城を強固にしても、人の心は離れてしまったら世は治めることができない。情けは人をつなぎとめ、結果として国を栄えさせるが、仇を増やせば国は亡びる。」という言葉を残しています。
 つまり、「人材の重要性 = 組織は人間力」ということではないでしょうか。
(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2013年7月 9日 火曜日

平成25年6月23日第340号

障害年金のお話し
 
 平成25年6月12日、厚生労働省は国民年金保険料の「2年前納制度」の導入を報道発表しました。開始は平成26年4月で、試算によれば1年前納の割引率2.1%から倍近い4.0%になります。年金制度も少しずつ変わっていきます。

 さて、御承知のように公的年金は、国民の老齢、障害、死亡時に生活を補償するものです。なかでも障害年金は、関係者の主観が入り、それが障害年金の請求をより困難に、複雑にしています。もらえるのに制度がわからなかったということのないようにしたいですね。一般的な流れは、次のようになります。

1.基本方針を立てましょう
 この病気なら障害年金がもらえるというように、原因となる傷病名が限定されているわけではありません。「障害の等級・程度」は「国民年金・厚生年金保険障害認定基準について」という通知が厚生労働省から出されています。また、傷病の発生した時期や、初診の医療機関の連絡先を確認しましょう。

2.年金記録の確認
 初診日で保険料納付要件(初診日の前日において前々月までの期間または直近1年間に未納がないかを問われます)を確認しましょう。初診日が20歳前の場合は問われません。

3.受診状況証明書等の取得
 診断書作成医療機関と初診の医療機関が異なっている場合、初診の医療機関で作成していただく書類です。連絡や訪問をして作成を依頼しましょう。

4.診断書の取得
 可能な限り医師と面談し診断書のポイントを伝えるようにしましょう。

5.病歴(就労状況)申立書の作成
  「請求者本人」が「障害年金の審査担当者」に思っていることを伝える書類です。

6.戸籍などの添付書類を揃える

7.窓口に裁定請求書を提出する

 以上簡略に書きましたが、やはり時間と粘り強さが必要です。また、書類の取得もなかなか難しいものがありますので、ぜひとも国家資格であり、年金の専門家である社会保険労務士にご相談ください。       
 (スマイルグループ 社会保険労務士)

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