労務ニュース スマイル新聞
2013年5月21日 火曜日
平成25年5月8日第337号
正社員募集と契約社員募集の違い
中小企業では、契約労働法が4月1日から改正されたことから、「契約社員」とは何か?の定義が問われているところです。「契約社員=期間の定めのある従業員」という定義にして、その多くが過去の採用における失敗からリスク管理として「契約社員採用」という行動に出ています。
「契約社員採用」で集まる応募者側の問題
応募者の視点で考えると、「契約更新時に交渉ができるほど実力に自信がある人」か「腰掛けで次の職場までのつなぎと考えている人」意外は、わざわざ契約社員を選んで就職したいとは思っていません。通常、契約社員の方は次回の更新に不安を感じていますし、結果として人生設計にも影響が出やすくなります。
「契約社員という立場」であっても、どうしても入りたいほどの魅力と特長のある会社であれば別ですが、企業は「契約社員でもいいからとにかく仕事に就きたい」という方々を集めてしまいかねません。
「契約社員採用」にまつわる企業側の問題
企業の多くが契約社員を採用するメリットまたは目的はいくつか挙げられます。
(1)契約更新時に満足な結果を出せていなければ、労基法の解雇に該当せずに雇用関係を終了させることができる(経営状態に合わせての人員整理が容易であり、試用期間のように試し雇いができる)
(2)退職金が不要
(3)一定年齢以上は更新しないことで平均年齢を保つ
(4)年俸制を適用し人件費の負担を抑えたい
など、若干不適切とも言える考えが見え隠れしていることがあります。
「契約更新というイベントがあるから常に緊張感をもって仕事をしてもらえる」など、経営者の詭弁を聞いたこともありますが、それはマネジメント能力の不足を社員に押し付けているだけです。正社員でも従業員満足度を上げれば、緊張感をもって仕事をしてもらえます。
中長期的な採用における「成功」を願うなら正社員採用を
正社員募集と契約社員募集には差がかなりあります。また、技術の流出、従業員満足度、人材の自転車操業、会社への帰属度、社員の生活や幸せなどからも、人材戦略として中長期的な視野をもっての正社員募集をお勧めします。
※契約社員を正社員にすることを前提にした、月15万円×最大2年という「若者チャレンジ奨励金」が生まれました。詳細は当事務所までおたずねください。
中小企業では、契約労働法が4月1日から改正されたことから、「契約社員」とは何か?の定義が問われているところです。「契約社員=期間の定めのある従業員」という定義にして、その多くが過去の採用における失敗からリスク管理として「契約社員採用」という行動に出ています。
「契約社員採用」で集まる応募者側の問題
応募者の視点で考えると、「契約更新時に交渉ができるほど実力に自信がある人」か「腰掛けで次の職場までのつなぎと考えている人」意外は、わざわざ契約社員を選んで就職したいとは思っていません。通常、契約社員の方は次回の更新に不安を感じていますし、結果として人生設計にも影響が出やすくなります。
「契約社員という立場」であっても、どうしても入りたいほどの魅力と特長のある会社であれば別ですが、企業は「契約社員でもいいからとにかく仕事に就きたい」という方々を集めてしまいかねません。
「契約社員採用」にまつわる企業側の問題
企業の多くが契約社員を採用するメリットまたは目的はいくつか挙げられます。
(1)契約更新時に満足な結果を出せていなければ、労基法の解雇に該当せずに雇用関係を終了させることができる(経営状態に合わせての人員整理が容易であり、試用期間のように試し雇いができる)
(2)退職金が不要
(3)一定年齢以上は更新しないことで平均年齢を保つ
(4)年俸制を適用し人件費の負担を抑えたい
など、若干不適切とも言える考えが見え隠れしていることがあります。
「契約更新というイベントがあるから常に緊張感をもって仕事をしてもらえる」など、経営者の詭弁を聞いたこともありますが、それはマネジメント能力の不足を社員に押し付けているだけです。正社員でも従業員満足度を上げれば、緊張感をもって仕事をしてもらえます。
中長期的な採用における「成功」を願うなら正社員採用を
正社員募集と契約社員募集には差がかなりあります。また、技術の流出、従業員満足度、人材の自転車操業、会社への帰属度、社員の生活や幸せなどからも、人材戦略として中長期的な視野をもっての正社員募集をお勧めします。
※契約社員を正社員にすることを前提にした、月15万円×最大2年という「若者チャレンジ奨励金」が生まれました。詳細は当事務所までおたずねください。
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2013年5月21日 火曜日
平成25年4月23日第336号
労使間の慣習について
1.「労使間の慣習」は法的拘束力を持つのか?
民法第92条によれば、長年継続された「労使間の慣習」は、法的拘束力を持つことがあります。未然にトラブルを防ぐため、「労使間の慣習」が法的拘束力を持つのはどのような場合か把握しておきましょう。
2.「労使間の慣習」が法的拘束力を持つ要素とは
・同種の行為または事実が、一定の範囲において長期間反復継続され定着して
いる。
・当事者双方が、明示または黙示にこれによることを排除・排斥していない。
・当該労働条件について、内容の決定権や裁量権を有する者が規範意識を有し
ている。
等を要する必要があります。
判例でも、単に長年継続されているということだけではなく、当事者が「規範意識」を持っていることが重要となってきます。
さらには使用者(労働条件を決定し得る権限を有する者か、またはその取り扱いに一定の裁量権を有す者)が長年繰り返してきた内容であるならば、慣習に沿った内容に就業規則を変更することになります。
そのため、就業規則を変更できる権限を持った者が、その「労使間の慣習」の取り扱いに義務意識を持っていることが必要となり、労働者が「労使間の慣習」において権利を得るには、高いハードルがあります。
一方で、使用者においても権利の行使が「権利の濫用」として、黙認・放置されていた一定の規律違反行為に対して無効となることがあります。
3.「労使間の慣習」例
・就業規則などに定められていない場合の行為準則となる場合
(日本ダンボール研究所事件、三菱重工業事件等)
・就業規則など成文化されたルールを補足する場合
(石川島播磨重工業事件、京都新聞社事件等)
・就業規則など成文化されたルールに反する取り扱いをする場合
(大栄交通事件、日本大学事件等)
すでに「労使間の慣習」が存在している場合、その慣習を労使合意のうえ廃止できれば良いですが、今後当慣習が発生しうるものであれば、就業規則等に明記してルール化すべきです。ただ、このときは労働条件の不利益変更とならないよう注意が必要になります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
1.「労使間の慣習」は法的拘束力を持つのか?
民法第92条によれば、長年継続された「労使間の慣習」は、法的拘束力を持つことがあります。未然にトラブルを防ぐため、「労使間の慣習」が法的拘束力を持つのはどのような場合か把握しておきましょう。
2.「労使間の慣習」が法的拘束力を持つ要素とは
・同種の行為または事実が、一定の範囲において長期間反復継続され定着して
いる。
・当事者双方が、明示または黙示にこれによることを排除・排斥していない。
・当該労働条件について、内容の決定権や裁量権を有する者が規範意識を有し
ている。
等を要する必要があります。
判例でも、単に長年継続されているということだけではなく、当事者が「規範意識」を持っていることが重要となってきます。
さらには使用者(労働条件を決定し得る権限を有する者か、またはその取り扱いに一定の裁量権を有す者)が長年繰り返してきた内容であるならば、慣習に沿った内容に就業規則を変更することになります。
そのため、就業規則を変更できる権限を持った者が、その「労使間の慣習」の取り扱いに義務意識を持っていることが必要となり、労働者が「労使間の慣習」において権利を得るには、高いハードルがあります。
一方で、使用者においても権利の行使が「権利の濫用」として、黙認・放置されていた一定の規律違反行為に対して無効となることがあります。
3.「労使間の慣習」例
・就業規則などに定められていない場合の行為準則となる場合
(日本ダンボール研究所事件、三菱重工業事件等)
・就業規則など成文化されたルールを補足する場合
(石川島播磨重工業事件、京都新聞社事件等)
・就業規則など成文化されたルールに反する取り扱いをする場合
(大栄交通事件、日本大学事件等)
すでに「労使間の慣習」が存在している場合、その慣習を労使合意のうえ廃止できれば良いですが、今後当慣習が発生しうるものであれば、就業規則等に明記してルール化すべきです。ただ、このときは労働条件の不利益変更とならないよう注意が必要になります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
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