労務ニュース スマイル新聞
2012年1月23日 月曜日
平成24年1月23日第306号
肺炎の予防接種を受けましょう
乾燥した天候が続き、インフルエンザが各地で流行しています。皆様の事業所ではどのような対策をとられていますか?
最近では定年年齢を引き上げたり、定年そのものを廃止する事業所が増えています。また、国も年金支給年齢引き上げを画策しているため、定年延長を法律で義務化する方向になっています。そのため、事業所で働く労働者の中に、高齢の方の割合が増えてきました。そこで高齢の従業員の健康対策として、肺炎及びインフルエンザの予防接種を受けるよう推奨してください。
日本人の死亡率は平成17年の時点で、1位 がん:30% 2位 心疾患:16% 3位 脳卒中:12% 4位 肺炎:10% 5位 不慮の事故:4%です。肺炎で亡くなる確率は事故で亡くなる確率の倍以上となっています。事業所で重要なポジションにおられる方が、職場で流行したインフルエンザが原因で肺炎となり、亡くなるという事例もあります。その場合、会社にとって非常に大きな損失となり、業務に支障をきたす恐れもあります。そこで、会社としては、65歳以上の従業員と65歳未満でも糖尿病・肺疾患・心臓疾患等の既往症をお持ちの従業員に、積極的に予防接種を受けるよう勧めてください。
肺炎といいましても、原因となる起因菌は様々あります。一番の起因菌はマイコプラズマと呼ばれる病原体ですが、これは、幼児・若年成人が中心にかかるもので、年齢が上がると共に感染割合は下がります。70歳以上だと1番が肺炎球菌であり、インフルエンザウイルス、嫌気性細菌、緑濃菌と続きます。高齢者が一番肺炎になりやすい肺炎球菌のワクチンを接種すると高齢者の肺炎の80%を予防できるといわれています。さらに、2番目に多いインフルエンザワクチンも併せて接種することで非常に効果的となります。
肺炎球菌のワクチンに関して、重篤な副作用は3例報告されています。しかし、死亡した例はまだ無く、比較的安全なワクチンであり、そのリスクはインフルエンザワクチンと同程度とされています。効果も非常に高いことから、国も積極的な摂取を勧めています。
乾燥した天候が続き、インフルエンザが各地で流行しています。皆様の事業所ではどのような対策をとられていますか?
最近では定年年齢を引き上げたり、定年そのものを廃止する事業所が増えています。また、国も年金支給年齢引き上げを画策しているため、定年延長を法律で義務化する方向になっています。そのため、事業所で働く労働者の中に、高齢の方の割合が増えてきました。そこで高齢の従業員の健康対策として、肺炎及びインフルエンザの予防接種を受けるよう推奨してください。
日本人の死亡率は平成17年の時点で、1位 がん:30% 2位 心疾患:16% 3位 脳卒中:12% 4位 肺炎:10% 5位 不慮の事故:4%です。肺炎で亡くなる確率は事故で亡くなる確率の倍以上となっています。事業所で重要なポジションにおられる方が、職場で流行したインフルエンザが原因で肺炎となり、亡くなるという事例もあります。その場合、会社にとって非常に大きな損失となり、業務に支障をきたす恐れもあります。そこで、会社としては、65歳以上の従業員と65歳未満でも糖尿病・肺疾患・心臓疾患等の既往症をお持ちの従業員に、積極的に予防接種を受けるよう勧めてください。
肺炎といいましても、原因となる起因菌は様々あります。一番の起因菌はマイコプラズマと呼ばれる病原体ですが、これは、幼児・若年成人が中心にかかるもので、年齢が上がると共に感染割合は下がります。70歳以上だと1番が肺炎球菌であり、インフルエンザウイルス、嫌気性細菌、緑濃菌と続きます。高齢者が一番肺炎になりやすい肺炎球菌のワクチンを接種すると高齢者の肺炎の80%を予防できるといわれています。さらに、2番目に多いインフルエンザワクチンも併せて接種することで非常に効果的となります。
肺炎球菌のワクチンに関して、重篤な副作用は3例報告されています。しかし、死亡した例はまだ無く、比較的安全なワクチンであり、そのリスクはインフルエンザワクチンと同程度とされています。効果も非常に高いことから、国も積極的な摂取を勧めています。
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2012年1月23日 月曜日
平成24年1月8日第305号
労働組合法の労働者
昨年4月、業務委託契約を結ぶ個人事業主にも団交権を認める最高裁判決が2件(カスタマーエンジニアの「INAXメンテナンス事件」、オペラに出演する合唱団員の「財団法人新国立劇場運営財団事件」)続けてあり、両裁判とも下級審の判決を破棄し、労働組合法の労働者性を認める判決を下しました。
下級審である高裁控訴審での、「INAXメンテナンス事件」の判決は、法的な従属関係を基礎付ける要素として、業務依頼に対する諾否の自由、時間的・場所的拘束、業務遂行についての具体的指揮監督、報酬の業務対価性等の有無、程度等を総合考慮すべきとして、労働者性を否定。「財団法人新国立劇場運営財団事件」においても、業務提供に関する諾否の自由、指揮監督の有無、報酬の支払い関係等から、合唱団員について、労組法上の労働者性を否定しました。
一転、最高裁判決により、労組法上の労働者は、団体交渉の必要が認められる者を範囲とし、労働基準法の労働者の適用範囲より幅広い概念としています。
判決後の厚生労働省労使関係法研究会による労組法上の労働者性判断基準として、(1)事業組織への組込み状況、(2)業務依頼に対する諾否の自由、(3)契約内容の一方的決定、(4)労務供給の日時・場所の拘束、(5)指揮監督の状況、(6)報酬の労務対価性、(7)労務供給者の事業性、(8)労務供給者の専属性を挙げています。このうち、労働基準法の労働者性判断基準になっていない項目は(1)と(3)です。
今後、企業としては、労基法上の労働者だけでなく、労組法上の労働者対策も必要となってきます。業務委託契約・請負契約でありながら、管理が甘いと、突然、組合(ユニオン)からの団体交渉があって拒否できない場合もあります。組合からの団交等に備え、日頃からの注意が必要となります。
対策としては、適法な業務委託・個人請負として、その労務供給者が(1)自由裁量権等による独立した事業者性、(2)兼業の自由、(3)労働時間の自由・自己管理、(4)勤務管理・就業管理・服務規律等の不拘束、(5)業務の外形的独立、(6)使用従属的な業務命令がない、(7)契約は対等の立場において複数の中から自由に選択、(8)請負内容等が注文指図により独立遂行が明白、(9)事業者としての報酬(源泉徴収なし)、(10)材料費等を負担し、経理・経費上の独立性等を有していることが挙げられます。
昨年4月、業務委託契約を結ぶ個人事業主にも団交権を認める最高裁判決が2件(カスタマーエンジニアの「INAXメンテナンス事件」、オペラに出演する合唱団員の「財団法人新国立劇場運営財団事件」)続けてあり、両裁判とも下級審の判決を破棄し、労働組合法の労働者性を認める判決を下しました。
下級審である高裁控訴審での、「INAXメンテナンス事件」の判決は、法的な従属関係を基礎付ける要素として、業務依頼に対する諾否の自由、時間的・場所的拘束、業務遂行についての具体的指揮監督、報酬の業務対価性等の有無、程度等を総合考慮すべきとして、労働者性を否定。「財団法人新国立劇場運営財団事件」においても、業務提供に関する諾否の自由、指揮監督の有無、報酬の支払い関係等から、合唱団員について、労組法上の労働者性を否定しました。
一転、最高裁判決により、労組法上の労働者は、団体交渉の必要が認められる者を範囲とし、労働基準法の労働者の適用範囲より幅広い概念としています。
判決後の厚生労働省労使関係法研究会による労組法上の労働者性判断基準として、(1)事業組織への組込み状況、(2)業務依頼に対する諾否の自由、(3)契約内容の一方的決定、(4)労務供給の日時・場所の拘束、(5)指揮監督の状況、(6)報酬の労務対価性、(7)労務供給者の事業性、(8)労務供給者の専属性を挙げています。このうち、労働基準法の労働者性判断基準になっていない項目は(1)と(3)です。
今後、企業としては、労基法上の労働者だけでなく、労組法上の労働者対策も必要となってきます。業務委託契約・請負契約でありながら、管理が甘いと、突然、組合(ユニオン)からの団体交渉があって拒否できない場合もあります。組合からの団交等に備え、日頃からの注意が必要となります。
対策としては、適法な業務委託・個人請負として、その労務供給者が(1)自由裁量権等による独立した事業者性、(2)兼業の自由、(3)労働時間の自由・自己管理、(4)勤務管理・就業管理・服務規律等の不拘束、(5)業務の外形的独立、(6)使用従属的な業務命令がない、(7)契約は対等の立場において複数の中から自由に選択、(8)請負内容等が注文指図により独立遂行が明白、(9)事業者としての報酬(源泉徴収なし)、(10)材料費等を負担し、経理・経費上の独立性等を有していることが挙げられます。
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2012年1月23日 月曜日
平成23年12月23日第304号
更正の請求期間の延長
平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として5年(改正前は1年)に延長されました。
なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税については、更正の請求の請求期限は従来どおり法定申告期限から1年となります。
更正の請求の範囲の拡大
当初申告の際、申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち、一定の措置については、更正の請求(又は修正申告書)の提出により事後的に適用を受けることができるようになりました。
※当初申告要件が廃止された措置(主なもの)
所得税関係
純損失の繰越控除(所得税法70)
雑損失の繰越控除(所得税法71)
外国税額控除 (所得税法95)
法人税関係
受取配当等の益金不算入 (法人税法23、81の 4)
外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法人税法23の2)
所得税額控除 (法人税法68、81の14)
外国税額控除 (法人税法69、81の15)
また、控除等の金額が当初申告の際の申告書に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、更正の請求(又は修正申告書)の提出により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除等の金額を増額することができることとされました。
この措置の適用は次のとおりとなっております。
(所得税関係)平成23年12月2日の属する年分以後の所得税
(法人税関係)平成23年12月2日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税
平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として5年(改正前は1年)に延長されました。
なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税については、更正の請求の請求期限は従来どおり法定申告期限から1年となります。
更正の請求の範囲の拡大
当初申告の際、申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち、一定の措置については、更正の請求(又は修正申告書)の提出により事後的に適用を受けることができるようになりました。
※当初申告要件が廃止された措置(主なもの)
所得税関係
純損失の繰越控除(所得税法70)
雑損失の繰越控除(所得税法71)
外国税額控除 (所得税法95)
法人税関係
受取配当等の益金不算入 (法人税法23、81の 4)
外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法人税法23の2)
所得税額控除 (法人税法68、81の14)
外国税額控除 (法人税法69、81の15)
また、控除等の金額が当初申告の際の申告書に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、更正の請求(又は修正申告書)の提出により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除等の金額を増額することができることとされました。
この措置の適用は次のとおりとなっております。
(所得税関係)平成23年12月2日の属する年分以後の所得税
(法人税関係)平成23年12月2日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2012年1月23日 月曜日
平成23年12月8日第303号
退職勧奨の留意点
会社の経営難等により行なう「雇用調整」の一手段として、「解雇」以外に希望退職や退職勧奨などの人員削減施策があります。人員削減を目標とする「整理解雇」を含む「解雇」には、経営者が一方的に雇用契約を解除できてしまうため、労働契約法は使用者の解雇を制限しています。退職勧奨は業績不振の社員や、勤務態度が著しく悪い社員などを対象とする場合もあります。
メリット・デメリット
退職勧奨は経営者が一方的に行なうものではなく、社員に辞めてもらうよう依頼するものです。社員が辞めたくないと思えば、退職する必要はありません。また、退職勧奨に関する規定が就業規則や雇用契約書にない場合でも、経営者は自由に退職勧奨を行なうことができます。
一般的に従業員には、退職金の上積みの提示、有給休暇の消化、退職後の社会保険、年金、税金、失業給付については退職理由が「会社都合」として扱われるため、特定受給資格者に該当し、7日間の待機後すぐに失業給付を受けることができる等の説明をします。
また、経営者は解雇予告が不要になる半面、失業給付については「会社都合」による解雇のため助成金を一定期間受け取れなくなる場合があります。
退職勧奨と不法行為
退職勧奨が執拗で、不当に強要である場合、不法行為と評価されうるというリスクがあります。(下関商業高校事件 最高裁昭和55年7月10日第一小法廷判決)
(1)「被勧奨者の意思が確定しているにもかかわらず、さらに勧奨を継続することは、不当に被勧奨者の決意の変更を強要するおそれがあり、・・・・・一旦勧奨を中断して時期をあらためるべき」こと
(2)「勧奨の回数及び期間についての限界は、千差万別であり・・・ことさらに多数回あるいは長期に勧奨が行なわれていることは、・・・不当に退職を強要する結果となる可能性が強く違法性の判断の重要な要素」であること
(3)「被勧奨者の名誉感情を害することのないよう十分な配慮がなされるべき」こと
以上のことを総合的に勘案して、被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であったか否かを勧奨行為の適法性の判断基準として、損害賠償請求が認められています。
行き過ぎた勧奨が行なわれると退職強要となり、トラブルになれば他の従業員のモチベーションも下がります。リスクを考え、早い段階で退職に関する合意書を交わすことも大切です。
会社の経営難等により行なう「雇用調整」の一手段として、「解雇」以外に希望退職や退職勧奨などの人員削減施策があります。人員削減を目標とする「整理解雇」を含む「解雇」には、経営者が一方的に雇用契約を解除できてしまうため、労働契約法は使用者の解雇を制限しています。退職勧奨は業績不振の社員や、勤務態度が著しく悪い社員などを対象とする場合もあります。
メリット・デメリット
退職勧奨は経営者が一方的に行なうものではなく、社員に辞めてもらうよう依頼するものです。社員が辞めたくないと思えば、退職する必要はありません。また、退職勧奨に関する規定が就業規則や雇用契約書にない場合でも、経営者は自由に退職勧奨を行なうことができます。
一般的に従業員には、退職金の上積みの提示、有給休暇の消化、退職後の社会保険、年金、税金、失業給付については退職理由が「会社都合」として扱われるため、特定受給資格者に該当し、7日間の待機後すぐに失業給付を受けることができる等の説明をします。
また、経営者は解雇予告が不要になる半面、失業給付については「会社都合」による解雇のため助成金を一定期間受け取れなくなる場合があります。
退職勧奨と不法行為
退職勧奨が執拗で、不当に強要である場合、不法行為と評価されうるというリスクがあります。(下関商業高校事件 最高裁昭和55年7月10日第一小法廷判決)
(1)「被勧奨者の意思が確定しているにもかかわらず、さらに勧奨を継続することは、不当に被勧奨者の決意の変更を強要するおそれがあり、・・・・・一旦勧奨を中断して時期をあらためるべき」こと
(2)「勧奨の回数及び期間についての限界は、千差万別であり・・・ことさらに多数回あるいは長期に勧奨が行なわれていることは、・・・不当に退職を強要する結果となる可能性が強く違法性の判断の重要な要素」であること
(3)「被勧奨者の名誉感情を害することのないよう十分な配慮がなされるべき」こと
以上のことを総合的に勘案して、被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であったか否かを勧奨行為の適法性の判断基準として、損害賠償請求が認められています。
行き過ぎた勧奨が行なわれると退職強要となり、トラブルになれば他の従業員のモチベーションも下がります。リスクを考え、早い段階で退職に関する合意書を交わすことも大切です。
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