労務ニュース スマイル新聞

2009年2月23日 月曜日

平成21年2月23日(第236号)...改正労働基準法が平成22年4月から施行されます




長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していること等に対応し、労働以外の生活のための時間を確保しながら働くことができるようにするため、一定の時間を超える時間外労働について割増賃金の率を引上げるとともに、年次有給休暇について一定の範囲で時間を単位として取得できることとする等の理由により「労基法改正案」が平成20年12月5日に成立し、12日公布、平成22年4月1日から施行されます。
1.時間外労働の割増賃金率の引き上げ
(1)1ヵ月に60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が、現行の25%から50%に引き上げられます。
※中小企業(資本金又は出資総額3億円、小売・サービス業5、000万円、卸売業1億円以下又は常時使用労働者数300人、小売業50人、サービス・卸売業100人以下)については、当分の間、法定割増賃金率の引上げは猶予されます。

(2)代償休暇制度の導入
労使協定を締結すれば、1ヵ月に60時間を超える時間外労働を行なった労働者に対して、法改正による引上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を付与することができます。

(3)1ヵ月45時間を超える(60時間未満)時間外労働については25%を超える率に引き上げられます。(努力義務)
※特別条項付きの時間外労働協定では、月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること

2.年次有給休暇の時間単位取得
現行では、年次有給休暇は日単位で取得することとされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります。

時間外労働が月に45時間を超える事業所様は、25%を超える割増賃金率を含め、1年後のために今から対策をたてていきましょう。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2009年2月 8日 日曜日

平成21年2月8日(第235号)...乗数効果ってどういうこと?




景気対策として、定額給付金が2兆円超の規模で決まりました。さて、この経済波及効果については賛否両論で新聞紙上でも喧々諤々の論調です。そのもとになる考え方が乗数理論です。

1.乗数理論
乗数理論とは何でしょうか?公共投資、例えば、道路工事、橋梁、箱ものと言われる各種の公共建物の建築等を考えてみましょう。まず、政府が道路工事を100億円すると、そこには、土木建設会社が請負、下請けに出したり、工事作業する人たちが雇用されたり、工事資材や建設工事のための建設機械が購入されたりして、2次所得が生まれます。
次に、工事資材の業者は、セメントや砂利、アスファルト等を購入することになり、3次所得が生まれます。こうして、最初の公共工事の発注が次から次と所得を生み出し、最終的に当初の100億円の公共投資に対してどのくらいの所得を生み出すかを計算します。その倍率を乗数と言います。所得の一部は、貯蓄に回されるので、2次所得以下は順次その効果は小さくなっていきます。

2.定額給付はどのくらいの乗数効果が見込めるのか?
ここが議論の分かれるところですね。企業へ公共投資等の形で投資されると波及効果も大きく、乗数は4倍から5倍くらいになるかもしれませんが、個人へ直接給付金として配分されてもローン返済や貯蓄に回され、企業向けの公共投資より、波及する範囲も限定されたものになり、その乗数効果は限定的だと予測されます。

3.乗数効果の大きな公共投資
しかし、従来型の公共投資も原資は国債等の国の借金であり、将来に負担を残すことになります。同じ公共投資でも、例えば、環境対策や緩和ケア向けの施設や教育投資をする等将来役に立つような公共投資をすればと思いますが、なかなか一筋縄では行きません。
将来の安定、安全のためにその保障金として備蓄した方が、はるかに国民は安心し、お金を消費に回すのではないかと思います。将来に不安があるからこそ、貯蓄する訳ですから、安心を持って生活してもらえるような公共投資をしてもらうのが乗数効果も大きくなり、私たちも安心してお金が使えるようになります。そしてその消費が大きな経済効果をもたらすのではないかと思います。皆さんはどんな意見をお持ちですか。  
(スマイルグループ 公認会計士)
  

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