労務ニュース スマイル新聞
2008年10月23日 木曜日
平成20年10月23日(第228号)...通勤手当の不正受給について
通勤手当は、会社によって様々な制度があります。多くは通勤にかかる費用の全部または一部を会社が負担する制度になっています。
自宅住所によって通勤の交通費は違ってきますので、社員が虚偽の申告をして実際の交通費より多額の通勤手当の支給を受けるという例も時に発生します。
比較的よくある例に、遠隔地に自宅のあった社員が近くに転居したにもかかわらず、そのことを会社に申告せず、従前どおりの過大な通勤手当の支給を受け続けるといったものがあります。
刑法246条は「人を欺いて財物を交付させたものは、10年以下の懲役に処する」と定めています(刑事上の詐欺罪)。
民法709条は「故意又は過失によって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています(不正行為)。
詐欺によって他人に損害を与えることは不法行為に該当し、その損害を賠償しなければなりません。
通勤手当の不正受給の場合の損害額は、虚偽申請によって申請を受けた金額と、実際の住所を申告すれば支給を受けたであろう金額との差額になるでしょう。
どの会社にも懲戒処分の制度があります。金銭上の不正行為は、会社の信頼を裏切るものであり、また、表に出た不正以外にも隠れた不正(余罪)を強く疑わせるものです。金銭上の不正は、金額の大小にかかわらず、社員にあるまじき背信的な非違行為として重い処分をされてもやむを得ません。
それは、経理担当者が会社の金銭を横領するというケースに限らず、一般社員の通勤手当の不正受給についても同じことです。
通勤手当の不正受給は、原則として、刑事上は詐欺罪、民事上は不正行為に該当します。会社秩序維持のため、厳しい懲戒処分も可能です。ただし、具体的な事情、反省度や被害弁償などを考慮して、適切な対処をすべきでしょう。
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2008年10月 8日 水曜日
平成20年10月8日(第227号)...ゴーイング・コンサーンってどんなこと?
最近、新聞紙上で「ゴーイング・コンサーン」って言葉を見かけますね。一体、どんな意味なんだろう?簡単に言うと「事業の継続性」ってことです。なんや、当り前のことやないか、ってことになりますが結構奥が深い言葉なんですよ。
1.経理処理の前提
経理処理は、この「ゴーイング・コンサーン」を前提として、行うことになっています。例えば、会社で売っている商品は、正常な状態で売るからその価格が成り立ちますが、「店じまい」なんて出ていると大幅に価格ダウンして売っているのと同じで、倒産!なんてなるとその会社の売る商品は相当価格ダウンしないと売れませんし、ましてや、使っていた機械等はそれこそスクラップ同然の二束三文になってしまいます。ですから、会計上の資産は、事業が今後も継続して運営されることを前提としてその評価の仕組みが成り立っているといえます。
2.上場企業のゴーイング・コンサーン
新聞紙上に取り上げられている事例は、株式を上場している企業の株主等への報告書のそのコメントが付いたときです。どんな場合にそのコメントが付けられるかというと、赤字決算が3年も4年も続き、お金の流れ(キャッシュ・フロー)もやっと銀行からの借り入れでまかなっているような会社で、もし、銀行が貸出をストップすると資金が回らなくなって倒産、すなわち、「ゴーイング・コンサーン」の会社でなくなってしまうような場合に付けられます。株主は、このコメントを見て株式を買うか、売るかの判断に役立てることになります。厳しいですね、自ら事業経営が成り立たなくなる可能性があることをコメントする訳ですから。
3.中小中堅企業も同じ
以前212号では、「車の両輪」というテーマで書きました。利益も資金も事業を継続していく(ゴーイング・コンサーン)ためにはどちらも欠かせないということをお知らせしました。株式公開企業だけでなく、中小中堅企業もこの「ゴーイング・コンサーン」ということはとても大切なことです。さて、あなたの会社は、しっかり事業計画を立てていますか?あなたの後継者は、喜んであなたの事業を継続してくれますか?
さあ、しっかり、利益と資金を確保できるように経営をしましょう。
(スマイルグループ 公認会計士)
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