労務ニュース スマイル新聞
2007年6月23日 土曜日
平成19年6月23日(第196号)...何故、残業が減らないのか
多くの会社で残業しているのに利益が出ていない会社を見かける。何故だろう?残業をして、利益が出なければ給料も上がらず、もちろん従業員のモラールも下がってくる。その原因は、どうも次の3つに集約されそうです。
1.コミュニケーションの悪さ
クライアントと営業、営業と製造、製造の中でも工程間のコミュニケーションがうまくできていないために、ニーズが伝わっていない、指示が十分でない、思い込みで仕事をしている。そのため、後で、やった仕事のやり直しをしているなんてケースはありませんか。各部署が自分の部署の部分最適だけ考えて仕事をしていると、こんな現象が起こってくる。私はこれを「蛸壺理論」と勝手に呼んでいる。要は、自分の仕事しか見えてなく、全体最適に結びついていないからミスややり直し作業が発生するのである。それとコミュニケーションで大切なことは言葉の定義である。同じ言葉を使っても指示した側と受けた側でイメージしたものが違えば当然に結果は違ってくる。たった5分の出来上がりのイメージの確認でこうしたミスは防ぐことができる。
2.知識、スキル不足
次が知識、スキル不足である。知らないことはできない。当たり前のことである。「魚を3枚におろす」ということを例に出して説明してみよう。先ず、魚を3枚におろすってことを知らなければ手をつけられないし、知っていても出刃包丁を持って捌いたことがなければなかなかきれいに捌けない。このことは仕事全般について言える。ある会社で経理規程を作ってくださいといったら闇雲のいろんな規程集から寄せ集めて作ってくれたのは良いが、全く中身がごたごたで使いものにならなかった。少なくとも経理規程はどんな規程で何を織り込まないといけないかを十分事前に知識をもって取り掛かってくれればこんな無駄な作業はしなくても済んだはずである。
3.方針、ルールが明確でないか、あっても朝礼暮改
方針やルールが明確でないと、各自が自分の方針やルールを作って勝手に動きはじめる。下手をするとベクトルが反対向きになっていて、お互いの成果を引っ張りあって、マイナスに働くことだってある。そこまで行かなくても重複した作業や、必要な作業が漏れたりすることもよくあることである。また、よく方針を変更する会社、特に組織変更をよくする会社はそのたびに仕事の分掌が変わったり、今までやってきた仕事が無駄になるケースが多い。もっと簡単なケースを上げると、みんなが使うパンチやホッチキスを決まった場所におきましょうというルールだけでも結構探す手間が省けたり、余分なものを買わなくて済むことがある。大きな方針や小さなルールを決めて全員が守るようにすることで随分業務の効率はよくなるものである。
あなたの会社は全室禁煙でしょうか?その禁煙を経営者や管理者が自ら破っていませんか?こんな会社は要注意です。あなたが守らなくて誰が守るのですか!
(スマイルグループ 公認会計士)
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2007年6月 8日 金曜日
平成19年6月8日(第195号)...これからの法改正と就業規則
今春、国会は「労働法制国会」と言われるだけあって、先日成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律案」のほか、「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案」「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案」「労働基準法の一部を改正する法律案」「最低賃金法の一部を改正する法律案」など、雇用や労働時間、賃金などに関連する法案が、厚生労働省より多数提出されています。
今後の動向が注目されている法案のひとつに、「労働契約法案」があります。同法案で最も問題視されているのが、就業規則の改定で労働条件の内容を変更できるとする新しいルールの法則化です。
労働契約法案に記載されている「労働契約の内容と変更(第8条から第11条までの関係)」では、「労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と原則を述べています。そのうえで、変更後の就業規則を労働者に周知させていた場合で、労働条件の変更等が合理的であるとき(後述)は、「変更後の就業規則に定めるところによるものとする」とする、就業規則の不利益変更における例外規定を明記しています。
現行制度では、必要性に基づいた合理的なものに限って労働条件の変更を有効とする、就業規則の不利益変更法理が成立していましたから、労使それぞれに大きなインパクトを与える内容です。
「合理的」の判断基準
労働条件変更の要件について同法案10条では、次の4点を判断要素とする、としています。
(1)労働者の受ける不利益の程度
(2)労働条件の変更の必要性
(3)変更後の就業規則の内容の相当性
(4)労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情
就業規則は、いわば会社の憲法です。就業規則にも「改憲」ルールができるのかどうか、今後もしっかり注目していくべきでしょう。
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