労務ニュース スマイル新聞

2002年11月23日 土曜日

平成14年11月23日(第86号)

DCF方式の導入について

 伊藤副金融担当相は、この度日本公認会計士協会の奥山会長とDCF方式の導入について会談しました。大手銀行の貸出債権に対する引当金の算定に、企業の将来収益を反映させる「割引現在価値」(ディスカウント・キャッシュフロー、DCF)方式等を導入するため、同協会で具体的検討を行うよう要請しました。
DCFの導入は10月30日決定の不良債権処理の加速策「金融再生プログラム」に盛り込まれたもので、同協会は特別チームを設置して年内に導入のガイドラインの原案をまとめ、来年3月期決算に反映させる考えです。


DCF価格とは

DCF価格は、その不動産が生み出すキャッシュフローに着目して、それを割引率で現在価値に割り引いて求めます。この評価手法をDCF法と言います。割引率は、一般的な金利水準と個別のリスクから構成されます。DCF評価では、利回り(リターン)とリスクの査定なしには価格が成立しないので、投資家にとっては、それらを判断基準としてほかの金融商品との比較が可能となります。また、種々のリスクを盛り込めるので、欧米でもリスクに適応した評価手法として認識されています。
収益還元法は、その基本的な算定方法(式)の面から、大きく直接還元法(広義)とDCF法とに分けられます。直接還元法(広義)は、ひとつの純収益を還元利回りで割って一度の操作で価格を求める手法であり、DCF法は、一定期間の収益をキャッシュフロー表を用いて詳細に分析して、復帰価格と併せて価格を求める手法です。
このように、DCF法は、一定期間の将来予測を明示的に行って価格を求める手法ですが、あくまでも予測に基づく手法であるので、割引率等の査定とともに、予測の内容、精度等によって求められた価格の信頼性は左右されます。不動産投資や開発事業においては、将来予測は不可欠なものであり、不動産鑑定評価に当たっては、このような市場参加者の将来予測や価値判断手法を採り入れていく必要があります。(不動産鑑定士)

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2002年11月 5日 火曜日

平成14年11月5日(第85号)...日本の経済どうなる?


1.中国
今年に入って、2回上海に行く機会があった。いま、上海はものすごい勢いで世界の経済にキャッチアップしてきている。中国には14億人の人口(統計上の人口で実際にはもっと多いといわれている。)がいてワーカーの賃金は月8,000円から12,000円である。これは、私が大学を卒業した昭和45年当時の高卒の給与水準と同じである。一方で技術および機械設備については日本を始めとする産業先進国から最新の技術や機械が導入され生産能力、品質等については急速に追いついてきている。これでは日本は勝ちようがないというのが実感である。こうした状況から見て日本の産業は2極化してしまうと予想されている。
2.産業の2極化現象
 ミドル技術である家電、車、IT産業の一部、鉄鋼、繊維等々はコストの低さを求めて中国へ移転してしまうであろう。その結果、日本に残るのは、ナノテク、バイオ、高度なIT技術またはそれらの融合した技術と地域の中で循環または消費される産業のみが残ることになる。前者は、大学および民間、公的研究機関が蓄積している技術がその担い手になることが期待されるが、すでにバイオ技術の一部については上海でバイオフェアーが開催されるなど追いつきつつある。後者の地域循環型産業には、健康、教育、環境、ケア(福祉、介護等)及び観光の5つのKのつく産業と外食産業をはじめとするサービス産業が残ることになる。正に、消費経済になってしまい、大量の雇用を生み出すには力不足であろう。
「地域創造」これが今後のキーワードとなるであろう。もう一度、地域の持っている産業資源を見直し、組織化し産業としてマーケットを創造していことが重要になってくる。
3.中国の課題
 中国にも課題がある。最大のものは沿岸部と奥地の所得格差である。産業化に向けて急速に先進国にキャッチアップしているとはいえ、まだまだ農業国であり、都市部の一部の所得の高い層に比較して所得水準は低く、さらに、都市部への人口の集中はいずれ環境等の社会問題を起こす可能性がある。

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