労務ニュース スマイル新聞
2019年8月 8日 木曜日
令和元年8月8日第487号
相続法の改正と特別寄与制度の創設
約40年ぶりに相続法が改正されたことに伴い、令和元年7月1日から特別寄与制度が創設されました。相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護を行っていた場合、相続人に対して金銭の請求をすることができるというものです。
1 創設の経緯
相続人でない者は、どんなに被相続人の療養看護に努めたとしても相続人ではないため、被相続人の死亡に際し相続財産の分配にあずかれません。一方、相続人である限りは、被相続人の療養看護を全く行っていなかったとしても相続財産を取得することができます。
以前から問題視されていたこのような不公平を解消するために創設されました。
2 制度のポイント
(1)特別寄与の対象
特別寄与者は、上記の通り相続人ではない親族です。なお民法において親族とは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族を指します。事実婚の場合は、配偶者とはみなされません。
なお特別の寄与とは、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことによって被相続人の財産を維持又は増加させたことをいいます。
(2)特別寄与料の上限額
相続開始時に有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額が、特別寄与料の上限です。例えば「全財産を特別寄与者以外に譲る」という遺言があれば、特別寄与料の請求権はあったとしても、請求することができません。
(3)請求をすることができる期間
特別寄与料の支払いについて、当事者間で協議が調わないときや、協議ができないときは、相続の開始を知ったときから6ヵ月又は相続開始のときから1年以内に家庭裁判所に請求することができます。
(4)税制における特別寄与の取扱い
相続税の課税対象です。相続人ではない親族が財産を取得するため、「相続税額の加算(いわゆる2割加算)」の対象となります。
遺産を受け取ることのできる人の範囲が広がることは大変喜ばしいことです。しかし、この制度が新たに争いの火種を生むことも想像に難くなく、今後より具体的な整備が必要となる制度ともいえます。
約40年ぶりに相続法が改正されたことに伴い、令和元年7月1日から特別寄与制度が創設されました。相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護を行っていた場合、相続人に対して金銭の請求をすることができるというものです。
1 創設の経緯
相続人でない者は、どんなに被相続人の療養看護に努めたとしても相続人ではないため、被相続人の死亡に際し相続財産の分配にあずかれません。一方、相続人である限りは、被相続人の療養看護を全く行っていなかったとしても相続財産を取得することができます。
以前から問題視されていたこのような不公平を解消するために創設されました。
2 制度のポイント
(1)特別寄与の対象
特別寄与者は、上記の通り相続人ではない親族です。なお民法において親族とは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族を指します。事実婚の場合は、配偶者とはみなされません。
なお特別の寄与とは、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことによって被相続人の財産を維持又は増加させたことをいいます。
(2)特別寄与料の上限額
相続開始時に有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額が、特別寄与料の上限です。例えば「全財産を特別寄与者以外に譲る」という遺言があれば、特別寄与料の請求権はあったとしても、請求することができません。
(3)請求をすることができる期間
特別寄与料の支払いについて、当事者間で協議が調わないときや、協議ができないときは、相続の開始を知ったときから6ヵ月又は相続開始のときから1年以内に家庭裁判所に請求することができます。
(4)税制における特別寄与の取扱い
相続税の課税対象です。相続人ではない親族が財産を取得するため、「相続税額の加算(いわゆる2割加算)」の対象となります。
遺産を受け取ることのできる人の範囲が広がることは大変喜ばしいことです。しかし、この制度が新たに争いの火種を生むことも想像に難くなく、今後より具体的な整備が必要となる制度ともいえます。
投稿者 イケダ労務管理事務所