労務ニュース スマイル新聞

2019年1月 8日 火曜日

平成31年1月8日第473号

労災保険と健康保険との関係


1.労災保険法
戦後いち早く制定された労働基準法(昭和22年)に基き、業務上の負傷、疾病、障害、死亡に対する使用者の補償責任が定められ、(1)療養補償、(2)休業補償、(3)障害補償、(4)遺族補償、(5)葬祭料が義務付けられ、同時に(昭和22年)その補償責任を担保するため労災保険法が制定されました。
我々が日々対応する事業主の方や従業員の方の業務災害、通勤災害に、費用の負担や、労働福祉の面で日常的に大きな役割を果たしている制度ですが、やはり、時代や働き方に沿って幾度もの改正がされているところです。
2.法改正による解決
ところが、労災保険は「業務上」、健康保険は「業務外」に対し保険給付を行うことを要件としたため、労働者が副業として行った請負業務での負傷、学生のインターンシップやシルバー人材センターの業務の場合なども労災保険と健康保険の間に挟まり、保険の保護がおよびませんでした。平成25年健康保険法の改正で対象領域が「業務災害以外」の災害に変更され、労災が否定されると健康保険の給付対象となるよう改正されました。ただし、法人格を持たない5人未満の労働者を雇用している事業所は健康保険の強制適用ではないため、業務外の災害について健康保険の適用から漏れる労働者があり、国民健康保険が適用されるケースもあります。
3.もう一つの問題
  もう一つの問題は、本来は労働災害であるのに健康保険で受診してしまった(あるいは受診している)場合です。
この場合、健康保険で受診してしまった(あるいは受診している)事案を労災保険に切替えるわけですが、いったん健康保険で全額を立替えて清算したうえで、労災保険に費用請求するというのが従来の方法でした。
この方法ですと、被災労働者に一時的な経済的負担が生じましたが、新しく、労災保険と健康保険の保険者間で調整し、労災保険給付額を返還額に相当する療養の費用として、健康保険の保険者あて直接振り込むことができるようになりました(「労災認定された傷病に対して労災保険以外から給付等を受けていた場合における保険者等との調整について」平成29.2.1基補発0201第1号)。
なお、新しい方法によるためには、労災事案であることが必要ですから、調整前に労災認定を受けたものであることが前提です。
後で調査が入り、ちょっとの事故と思っていても、立派な労災事故だった、ということがないよう気をつけたいものです。

投稿者 イケダ労務管理事務所

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