労務ニュース スマイル新聞

2017年7月 8日 土曜日

平成29年7月8日第437号

労災保険特別加入と適用関係について


1.1億総活躍社会の実現と労災保険特別加入

平成29年度、
1億総活躍社会の実現に向け、

政府は中小企業事業主の
労災保険加入を促進するとともに、

安全な作業環境の整備と公平な
競争を確保するため、

建築作業の一人親方の特別加入の
促進を掲げています。

労災保険は、
事業主に使用される労働者に対して
補償を行う制度ですから、
自営業者は補償の対象とはなりません。

しかし中小企業事業や個人事業主、
建築の一人親方等は、

勤務の実態が一般の労働者と大差なく、
労災保険法で保護すること必要がある場合があり、

これらの人々に労災保険への加入を
認めるのが特別加入制度です。


2.労災保険特別加入制度の種類と適用関係

労災保険は、
一般の労働者が対象となる部分と
特別加入部分とは補償内容の異なる部分があり、
保険制度の適用や実務処理も異なります。

(1)中小企業事業主の特別加入(第1種特別加入者)

常時300人、卸売サービス業は100人、
金融・不動産・小売業は50人以下の
労働者を使用する事業主であり、

労働者に係る保険関係が成立しており、
労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託する者です。

労働者を1人でも雇用する場合は対象となりますが、
年間を通じ延べ100日以上になることが必要です。

請負による建築事業の下請けを行う事業主の場合、
自らの直営工事は徴収法第7条の「有期一括」の
保険関係を成立させておき、
その関係に基づき事務組合に委託します。

これにより、元請工事の中に従事する場合と同じく、
自らの請負工事でも労働者と同様の
業務についても補償されるのです。

ただし、事業主としての業務は対象外です。

(2)一人親方等及び特定作業従事者(第2種特別加入者)
一人親方とは、
(ア)個人タクシー
(イ)建築業
(ウ)漁船
(エ)林業
(オ)医薬品配置
(カ)再生資源取扱業
(キ)船員の事業
などです。

いずれもアルバイト等を雇用する場合は、
延べ年間100日未満である必要があります。

製造業の一人社長は一人親方とはなりません。

特定作業従事者等とは、
(ア)比較的大規模の農業や大型機械を使用する農業
(イ)家内労働とその補助者で、プレス機を使用する作業等の従事者
(ウ)労働組合の常勤役員
(エ)家事使用人としての介護者等が該当しますが、
ボランティアは含まれません。

(3)海外派遣者(第3種特別加入者)
日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から
派遣されて海外支店等の事業に従事する労働者です。

投稿者 イケダ労務管理事務所

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