労務ニュース スマイル新聞
2016年4月 8日 金曜日
平成28年4月8日第407号
自己申告した労働時間を後日否定した残業代請求
人事担当者からこのような相談がありました
退職する従業員から過去の未払い残業代の請求をされています。残業はすべて
自己申告制となっており、本人からの申告に基づき適正に支払ってきました。
今回の従業員の言い分は「会社と上司からの売上アップ、経費削減の
プレッシャーが強く、とても実際働いていた時間を申告できなかった。」というものです。
会社としては適正な申告をすれば支払っているのにそれをしなかった従業員に
問題があると考えていますが、支払わなければなりませんか?
結論からいいますと、実際に残業をしていて未払い残業があった場合
「適正申告しない従業員が悪い」という考え方は通用しません。
申告しなかったことは「自己責任」であり、後日残業代を請求しても「会社側に
支払い義務はない」と考えてしまいそうですが、実際に時間外労働があって
残業代が未払いであるなら未払い残業代の請求権は発生します。
遡及できるのは最大過去2年分
労働基準法第115条には、賃金(退職手当を除く)の請求権は2年間と定められています。
従って、時間外労働賃金の時効は権利発生から2年となり、従業員側は
最大過去2年分の残業代遡及請求が可能です。この請求において
在職中か否かは問いません。
過去の労働時間の把握の仕方
ただ、過去の労働時間が正確に把握できていなければ実際に残業代の算出が困難です。
労働基準監督署でも客観的な記録がなければ支払命令などは出しようがありません。
このケースでは、日報として退社時刻近くに本社にメールを送っていました。
そこでこれを客観的な記録として労働時間を把握することが出来ました。
手書きの出勤簿では早く退社したことになっていたのですが、
実際残業していたということがこの記録から確認されたのです。
ほかにも百貨店などの入館退館記録、従業員本人による手帳への
記録なども労働時間の記録として認められることが多いようです。
自己申告制を採る企業の場合、手間はかかりますが日々の勤怠を適正に
把握していくことでトラブルを防止することができます。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
人事担当者からこのような相談がありました
退職する従業員から過去の未払い残業代の請求をされています。残業はすべて
自己申告制となっており、本人からの申告に基づき適正に支払ってきました。
今回の従業員の言い分は「会社と上司からの売上アップ、経費削減の
プレッシャーが強く、とても実際働いていた時間を申告できなかった。」というものです。
会社としては適正な申告をすれば支払っているのにそれをしなかった従業員に
問題があると考えていますが、支払わなければなりませんか?
結論からいいますと、実際に残業をしていて未払い残業があった場合
「適正申告しない従業員が悪い」という考え方は通用しません。
申告しなかったことは「自己責任」であり、後日残業代を請求しても「会社側に
支払い義務はない」と考えてしまいそうですが、実際に時間外労働があって
残業代が未払いであるなら未払い残業代の請求権は発生します。
遡及できるのは最大過去2年分
労働基準法第115条には、賃金(退職手当を除く)の請求権は2年間と定められています。
従って、時間外労働賃金の時効は権利発生から2年となり、従業員側は
最大過去2年分の残業代遡及請求が可能です。この請求において
在職中か否かは問いません。
過去の労働時間の把握の仕方
ただ、過去の労働時間が正確に把握できていなければ実際に残業代の算出が困難です。
労働基準監督署でも客観的な記録がなければ支払命令などは出しようがありません。
このケースでは、日報として退社時刻近くに本社にメールを送っていました。
そこでこれを客観的な記録として労働時間を把握することが出来ました。
手書きの出勤簿では早く退社したことになっていたのですが、
実際残業していたということがこの記録から確認されたのです。
ほかにも百貨店などの入館退館記録、従業員本人による手帳への
記録なども労働時間の記録として認められることが多いようです。
自己申告制を採る企業の場合、手間はかかりますが日々の勤怠を適正に
把握していくことでトラブルを防止することができます。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所