労務ニュース スマイル新聞

2016年3月 8日 火曜日

平成28年3月8日第405号

成年後見人制度について

 本年2月、成年後見人利用促進法の提案を政府与党が了承しました。
かつては、判断能力が衰えたり、喪失した人の法的関係を保護するために、
禁治産及び準禁治産の制度が設けられていました。

禁治産制度では、判断能力の程度が心神喪失の状況にある者を対象に
禁治産・準禁治産宣告が行われ、保護機関として後見人が置かれていました。

 しかし、この制度では、
(1)禁治産等の宣告が戸籍に記載されるので、本人・親族等関係者に
  避けられることが多かった。
(2)財産保護に偏っており日常生活の補助がない。
(3)行政機関に申立権がなく、身寄りのない人は制度を利用できない。等様々な
  問題が指摘され、平成12年4月に民法が改正されて、成年後見制度ができました。

1.現在の利用状況

 平成12年の申立件数は約三千六百件でしたが、平成26年の申立件数は
約3万4584件、当初の約9.5倍、制度利用者は27万9千人となりました。

今後、高齢人口の増大と一人暮らしの高齢者の増加により、利用者は増加すると
判断されています。日本の認知症高齢者は約300万人、
知的・精神障害者は約378万人にのぼります。

欧米では、人口の1割程度が制度利用の標準となっており、
我が国の潜在需要は120万人前後と推計されますが、
制度の内容が十分知られていないのが実情です。

2.制度の概要

(1)判断能力喪失の程度により、補助、補佐、後見の3類型で法定後見制度
  とした。
(2)戸籍への記載に代えて、登記することで登録して公示する制度とした。
(3)市町村長に対し、法定後見開始の審判申立権を付与した。
(4)複数の後見人、法人の後見人が選任できるようになった。
(5)将来の判断能力低下に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人に代理権を
  与える契約を公正証書で作成する「任意後見人」制度が創設された。
(6)財産管理だけでなく、介護契約・施設入所等身の回りの契約が可能となった。

 将来、認知症等で判断力が低下した場合、財産の管理・介護サービス契約・
施設への入所契約・財産分割協議などの処置が必要となります。

現在、成年後見人の専門職受任機関として、弁護士、司法書士、社会福祉士、
行政書士、税理士がそれぞれの専門的な立場から受任、社会保険労務士も
介護保険や年金の専門家としての特性を生かして後見人活動を行っています。

親族にまさかの事態が発生することを予想して、予め対応策を立てておくことは、
安心な将来設計のために必要な準備と思われます。
(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所

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