労務ニュース スマイル新聞

2014年12月11日 木曜日

平成26年11月23日第374号

過労死等防止対策推進法が施行されました!

 過労死や過労自殺の防止を「国の責務」とした「過労死等防止対策推進法」が平成26年11月1日、施行されました。厚生労働省によると、平成25年度にクモ膜下出血や心筋梗塞などの脳・心臓疾患で労災認定されたのは306人、そのうち死亡に至ったケースは133人に達し、うつ病などの精神疾患でも436人が認定され、未遂を含む自殺者は63人にものぼります。また、日本の「過労死」は国際社会でも問題化され、2013年国連から日本政府に対して、過労死防止対策を強化するよう勧告も出ています。これらを背景に、厚生労働省が過労死対策を本格化させました。

1.目的(概略)
 近年、我が国においては過労死が多発し、大きな社会問題となっていること及び過労死が本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であり、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与する。

2.過労死等の定義
 業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害。

事業主等の責務
 平成12年、最高裁までいった「電通事件(過労自殺)」。大手広告代理店Y社に勤めていたA(大卒新入社員)が、長時間に及ぶ時間外労働を恒常的に行っていて、うつ病に罹患し、入社1年5ヵ月後に自殺。最高裁は「Aが恒常的に著しく長時間にわたり業務に従事していること及び健康状態が悪化していることを認識していながら軽減措置を採らなかった。」として、Y社に民法第715条の使用者責任を認め、最終的には、会社が約1億6,800万円を支払うとの内容で和解が成立しました。
 また、平成22年の「日本海庄や事件」では、入社4ヵ月後にA(労働者)は急性心不全により死亡。Aの1ヵ月の最低支給額は、「月80時間の時間外労働をすることが前提となっている給与体系」で、会社に安全配慮義務違反を認めたことはもとより、会社の取締役にも「労働条件を改善することなく放置していた。」として不作為の責任を負わせています。
 今回の法律により、職場において、過重労働になっていないか、時間外労働や、従業員の健康等に再度、チェックし、配慮をするように努めましょう。
(スマイルグループ 社会保険労務士)


投稿者 イケダ労務管理事務所

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