労務ニュース スマイル新聞
2013年5月21日 火曜日
平成25年4月23日第336号
労使間の慣習について
1.「労使間の慣習」は法的拘束力を持つのか?
民法第92条によれば、長年継続された「労使間の慣習」は、法的拘束力を持つことがあります。未然にトラブルを防ぐため、「労使間の慣習」が法的拘束力を持つのはどのような場合か把握しておきましょう。
2.「労使間の慣習」が法的拘束力を持つ要素とは
・同種の行為または事実が、一定の範囲において長期間反復継続され定着して
いる。
・当事者双方が、明示または黙示にこれによることを排除・排斥していない。
・当該労働条件について、内容の決定権や裁量権を有する者が規範意識を有し
ている。
等を要する必要があります。
判例でも、単に長年継続されているということだけではなく、当事者が「規範意識」を持っていることが重要となってきます。
さらには使用者(労働条件を決定し得る権限を有する者か、またはその取り扱いに一定の裁量権を有す者)が長年繰り返してきた内容であるならば、慣習に沿った内容に就業規則を変更することになります。
そのため、就業規則を変更できる権限を持った者が、その「労使間の慣習」の取り扱いに義務意識を持っていることが必要となり、労働者が「労使間の慣習」において権利を得るには、高いハードルがあります。
一方で、使用者においても権利の行使が「権利の濫用」として、黙認・放置されていた一定の規律違反行為に対して無効となることがあります。
3.「労使間の慣習」例
・就業規則などに定められていない場合の行為準則となる場合
(日本ダンボール研究所事件、三菱重工業事件等)
・就業規則など成文化されたルールを補足する場合
(石川島播磨重工業事件、京都新聞社事件等)
・就業規則など成文化されたルールに反する取り扱いをする場合
(大栄交通事件、日本大学事件等)
すでに「労使間の慣習」が存在している場合、その慣習を労使合意のうえ廃止できれば良いですが、今後当慣習が発生しうるものであれば、就業規則等に明記してルール化すべきです。ただ、このときは労働条件の不利益変更とならないよう注意が必要になります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
1.「労使間の慣習」は法的拘束力を持つのか?
民法第92条によれば、長年継続された「労使間の慣習」は、法的拘束力を持つことがあります。未然にトラブルを防ぐため、「労使間の慣習」が法的拘束力を持つのはどのような場合か把握しておきましょう。
2.「労使間の慣習」が法的拘束力を持つ要素とは
・同種の行為または事実が、一定の範囲において長期間反復継続され定着して
いる。
・当事者双方が、明示または黙示にこれによることを排除・排斥していない。
・当該労働条件について、内容の決定権や裁量権を有する者が規範意識を有し
ている。
等を要する必要があります。
判例でも、単に長年継続されているということだけではなく、当事者が「規範意識」を持っていることが重要となってきます。
さらには使用者(労働条件を決定し得る権限を有する者か、またはその取り扱いに一定の裁量権を有す者)が長年繰り返してきた内容であるならば、慣習に沿った内容に就業規則を変更することになります。
そのため、就業規則を変更できる権限を持った者が、その「労使間の慣習」の取り扱いに義務意識を持っていることが必要となり、労働者が「労使間の慣習」において権利を得るには、高いハードルがあります。
一方で、使用者においても権利の行使が「権利の濫用」として、黙認・放置されていた一定の規律違反行為に対して無効となることがあります。
3.「労使間の慣習」例
・就業規則などに定められていない場合の行為準則となる場合
(日本ダンボール研究所事件、三菱重工業事件等)
・就業規則など成文化されたルールを補足する場合
(石川島播磨重工業事件、京都新聞社事件等)
・就業規則など成文化されたルールに反する取り扱いをする場合
(大栄交通事件、日本大学事件等)
すでに「労使間の慣習」が存在している場合、その慣習を労使合意のうえ廃止できれば良いですが、今後当慣習が発生しうるものであれば、就業規則等に明記してルール化すべきです。ただ、このときは労働条件の不利益変更とならないよう注意が必要になります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所