労務ニュース スマイル新聞
2013年4月16日 火曜日
平成25年3月23日第334号
継続雇用制度の留意点
平成25年4月1日から改正高年齢者雇用安定法(以下「高齢法」。)が施行されます。
平成18年4月1日から改正施行されていた高齢法では、定年の定めをしている事業主に対して、高齢者雇用確保措置が義務付けられていました。
具体的には(1)定年の引き上げ(2)継続雇用制度の導入(3)定年の定めの廃止。
3種類のうち(2)の継続雇用制度は「再雇用」制度と「勤務延長」制度に大別されました。今年の3月末までは労使協定により基準を定めた場合は、継続雇用制度の希望者全員を対象としない制度も可能であったものが、今改正で「希望者全員雇用」が原則となります。
一方、老齢厚生年金の支給開始年齢引上げにより、60歳定年に達しても1円の年金も貰えない無年金世代が登場するようになりました。今回の改正は、定年から年金受給までの期間をスムーズに連結するのが目的のため、受給開始年齢以上においては従来通り労使協定で対象者に係る基準を設けて良いとの「経過措置」が導入されました。
1.就業規則の変更
すでに就業規則で定年を65歳以上としている企業、定年制なしの企業、65歳まで希望者全員雇用の企業は今回の法改正に伴う見直しは必要ありません。しかし、労使協定により基準を設けて再雇用を制限している企業は希望者全員を継続雇用制度の対象とする必要があり、就業規則にもその点を変更して監督署への届出が必要になります。
年金受給開始年齢までは希望者全員を対象とし、それ以上の年齢は基準を設ける「経過措置」を導入するにしても、厚生労働大臣が新たに定めた「指針」では就業規則に定める解雇・退職事由に該当する場合以外継続雇用をしないことができません。
労使協定での人選ができなくなる分、継続雇用制度に労働者が申し込むことで労働者に雇用継続の合理的期待がありと判断され、継続雇用拒否には解雇に相当する客観的合理性・社会的相当性が求められることになります。 そのため、就業規則の解雇事由又は退職事由についても見直しておく必要があります。
2.再雇用後の労働条件
前述の雇用確保措置のうち、どの制度を選択しても、「賃金」に関しては特段制約がなく、年収が6~7割程度にダウンする傾向にあります。しかし、雇用形態の違う正社員と嘱託であったとしても賃金等の労働条件が大幅に低下させるには、合理性が必要になるケースがあります。また、裁判例でも、極めて過酷で、勤務する意思を削がせると認められるような労働条件を提示することは雇用継続を排除したと判断され、認められていません。労使間で十分に協議し、納得性の高いものになるよう心掛けてください。(スマイルグループ 社会保険労務士)
平成25年4月1日から改正高年齢者雇用安定法(以下「高齢法」。)が施行されます。
平成18年4月1日から改正施行されていた高齢法では、定年の定めをしている事業主に対して、高齢者雇用確保措置が義務付けられていました。
具体的には(1)定年の引き上げ(2)継続雇用制度の導入(3)定年の定めの廃止。
3種類のうち(2)の継続雇用制度は「再雇用」制度と「勤務延長」制度に大別されました。今年の3月末までは労使協定により基準を定めた場合は、継続雇用制度の希望者全員を対象としない制度も可能であったものが、今改正で「希望者全員雇用」が原則となります。
一方、老齢厚生年金の支給開始年齢引上げにより、60歳定年に達しても1円の年金も貰えない無年金世代が登場するようになりました。今回の改正は、定年から年金受給までの期間をスムーズに連結するのが目的のため、受給開始年齢以上においては従来通り労使協定で対象者に係る基準を設けて良いとの「経過措置」が導入されました。
1.就業規則の変更
すでに就業規則で定年を65歳以上としている企業、定年制なしの企業、65歳まで希望者全員雇用の企業は今回の法改正に伴う見直しは必要ありません。しかし、労使協定により基準を設けて再雇用を制限している企業は希望者全員を継続雇用制度の対象とする必要があり、就業規則にもその点を変更して監督署への届出が必要になります。
年金受給開始年齢までは希望者全員を対象とし、それ以上の年齢は基準を設ける「経過措置」を導入するにしても、厚生労働大臣が新たに定めた「指針」では就業規則に定める解雇・退職事由に該当する場合以外継続雇用をしないことができません。
労使協定での人選ができなくなる分、継続雇用制度に労働者が申し込むことで労働者に雇用継続の合理的期待がありと判断され、継続雇用拒否には解雇に相当する客観的合理性・社会的相当性が求められることになります。 そのため、就業規則の解雇事由又は退職事由についても見直しておく必要があります。
2.再雇用後の労働条件
前述の雇用確保措置のうち、どの制度を選択しても、「賃金」に関しては特段制約がなく、年収が6~7割程度にダウンする傾向にあります。しかし、雇用形態の違う正社員と嘱託であったとしても賃金等の労働条件が大幅に低下させるには、合理性が必要になるケースがあります。また、裁判例でも、極めて過酷で、勤務する意思を削がせると認められるような労働条件を提示することは雇用継続を排除したと判断され、認められていません。労使間で十分に協議し、納得性の高いものになるよう心掛けてください。(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所