労務ニュース スマイル新聞
2011年10月31日 月曜日
平成23年9月23日(第298号)...知的障害と発達障害の障害年金について
この9月から障害年金の精神障害について基準が改正されました。その中で、同じような障害である知的障害と発達障害の初診日について、取扱いの基準が示されました。
知的障害も発達障害も、共に先天的要因による障害※です。これらの初診日の取り扱いについて、昭和43年2月23日付けの通達において、「知的障害(精神遅滞)者は、医学的には先天性のものとされているので、初診日の如何を問わず20歳前の障害基礎年金として取扱うもの。」と示されていました。
しかし、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害等)については、IQも高く、大学を卒業していているケースもあり、就職後の人間関係で症状が悪化して、初めて発達障害と判明する方もいます。このようなケースの場合、一見就職後に発病したかのように考えられます。このため、初診日の取扱いが担当者によって分かれていました。
もし、就職してからの初診日となると、障害厚生年金と障害基礎年金の両方が受給できる可能性もありますし、所得制限もなくなります。(20歳前の初診日となると、障害基礎年金しか受給できず、しかも所得制限があります。)しかし、先の通達により、窓口の担当者は知的障害も発達障害も同じと捉え、20歳前の障害としてしか受け付けない方も多くありました。ところが、厚生省の年金担当者は、先天的な要因があったとしても、その症状が陰性であり、就職後に悪化して初めて受診したのであれば、そこを初診として取扱ってよいケースと説明をしていました。
私が扱った例でも、初診日が20歳以降にあっても、保険料納付要件が満たない方は、20歳前と認定されるように書類を整えて、障害基礎年金を請求して受給できるように申請したり、厚生年金加入期間中(就職後)に初めて異常を感じて受診しているのなら、有利な障害厚生年金を請求して受給できるように申請をしておりました。(20歳前の初診日の場合は、保険料を支払う義務がなく、国民年金の保険料を納めていたかといった事が問われません。)しかし、初診日が20歳以降の厚生年金加入期間中にあっても、役所の窓口で20歳前障害として申請するように指導されていた為に、障害基礎年金しか受給できていない方がかなりいらっしゃいます。
今回の基準改訂により、知的障害は20歳前を初診日とし、発達障害は実際に初めて医師の診察を受けた日を初診日とするとなりましたので、今後このような不利益を被る人は少なくなるでしょう。
もし、周りの方やご家族の方で、発達障害と診断されている人がおられましたら、一度年金事務所等で障害年金の相談をしてみてください。
※:一部例外はあります。
投稿者 osaka-genova.co.jp