労務ニュース スマイル新聞
2011年5月23日 月曜日
平成23年5月23日(第290号)...医療費の限度額適用認定書を利用しましょう
近年の医学の発展により、高度な手術や新薬が開発され、様々な医療行為が受けられるようになりました。しかし、医療費が高額になる傾向があり、心臓バイパス手術では、3割分の自己負担金が約160万円になります。また、新薬の関係でいうと、1年前に発売された血液難病の新薬は、毎月の注射代が3割負担でも約120万円になります。他にも処方される薬代が毎月数万円という薬も多くなってきております。
これら高額な医療費に関しましては、健康保険に高額療養費制度というものがあります。これは高額な医療費に月ごとの上限を設け、費用が問題で治療が受けられないという方を少なくするのが目的です。その上限額は次のように定められています。
(70歳未満の場合:1ヵ月の医療費の上限額)
・一般被保険者(標準報酬月額53万円未満)
→(医療費の総額-267,000円)×1%+80,100円=83,400円
(多数該当)
(この他に、上位所得者や低所得者の区分もあります。)
ここで言う多数該当とは直近の1年間に高額療養に該当した月が3ヵ月以上ある場合に適用されます。一般被保険者の方で心臓バイパス手術により1ヵ月入院したと仮定しますと、医療費の総額が約530万円になりますので、高額療養費は大体13万円程となります。
この高額療養費制度は、原則は医療費の3割を病院に支払って、その後、健康保険に差額返還の手続きをする流れとなります。ただ、一括で160万円も支払えないという方も多く、その場合は、「限度額適用認定書」を保険者からもらっておきますと、病院の支払いが高額療養費で計算された約13万円ですみます。大きな手術の予定が入っている方は、事前に「限度額適用認定書」を取得される事をお勧めします。
ただし、この「限度額適用認定書」は、現在は入院にしか使用できません。外来で高額な治療を受けている方は対象となっていませんので、高価な注射薬を使用されておられるのであれば、病院にお願いして、一泊入院で治療を受けてください。そうしますと、限度額認定され、月々用意する医療費の負担が少なくてすみます。
外来についても、来年の4月から「限度額適用認定書」が適用される通知が厚生労働大臣からありましたので、来年度からは外来でも利用できるようになります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所