労務ニュース スマイル新聞
2010年11月23日 火曜日
平成22年11月23日(第278号)...残業は合法的に処理しましょう
年末が近づいてきました。不況と言っても年末ともなれば仕事量が増えて残業を命ずることが多くなるでしょう。御社では残業は合法的に行われていますか?"名ばかり管理職"を作っていませんか?ご点検をお願いします。
では、合法的であるためのチェックポイントを挙げてみましょう。
1.36協定はちゃんと締結されていますか?
監督署へ協定届だけは提出されていても、協定書の作成等その協定を決めた手続がちゃんと行われていなければなりません。
2.36協定の有効期間はまだ十分残っていますか?
36協定の期間は1年とするのが普通ですが、継ぎ目で空白ができないように注意が必要です。これまで、過去に36協定が有効でなかった時期があった、というだけで労使紛争になった例があります。1日も空白期間ができないように注意してください。
3.従業員代表の選出は適正に行われましたか?
事業主が署名人を指名しており、従業員によって選出されていない、とか、親睦団体の代表者が従業員代表として署名捺印している、などは違法です。
従業員の親睦団体である「○◇社友会」の代表を労働者代表として36協定を締結していたが、この人物は労働組合の代表者でもなく、労働者の過半数を代表する者でもないから、この人物と交わした36協定は無効であり、残業命令も無効であるという判決が出た例もあります。
では、従業員代表はどのように選出すればよいでしょうか。それは「厳格な選挙等を行う必要はない。」とされていますが、次のようなことを確実に実行することが必要です。
(1)朝礼時に挙手で決める。
(2)全社員に従業員代表候補者を周知し異議がある場合は申し出るよう全員に伝える。
(3)書面で個別に同意を取っておく。
これらの経緯を文書に残しておくことが、後のトラブルを防ぐために有効です。
ファーストフード店の店長が、「自分は管理職とされていたが、実は"名ばかり管理職"であるから超過勤務給を支払え。」と会社を訴えたM社の事件は有名になりましたが、類似の事件は後を絶っていないようです。
従業員の管理職への昇進に当たっては、仕事の質、責任と権限に見合う給与・待遇を与えないと"名ばかり管理職"を作ってしまうことになります。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所