労務ニュース スマイル新聞

2010年1月23日 土曜日

平成22年1月23日(第258号)...健康診断の結果は大切に保管しておきましょう

事業者は、使用している労働者に対して、年1回以上健康診断を受けさせ、その記録を5年間保存しておかなければなりません。この健康診断の記録の保存が非常に重要な意味を持つことがあります。それはどういったことか、元厚生年金加入者で退職後、障害年金を受給することとなった二人のケースで見てみましょう。

<ケース1>聴力の衰えを健診で指摘された女性で、結婚退職する予定があったため、退職して2日後に受診を開始した。いよいよ補聴器が必要な状態になり、障害年金を申請しようとしたところ、病院に残っている初診日は退職後2日目であり、障害基礎年金しか申請できない。健診の記録があれば障害厚生年金と障害基礎年金の両方を受給できたのに、健康診断の記録がないために、年金額が100万円近く少なくなってしまった。

<ケース2>健康診断で尿から淡白が出ていることを指摘されるも受診せず、その後退職してずっと国民年金を支払ってこなかった。退職後15年近くたって全身の倦怠感により初めて受診すると、即入院となり透析を受けないといけなくなった。本来なら障害基礎年金のみの申請だが、そもそも国民年金保険料も15年近く未納であったために、申請する権利すらなかった。しかし、会社員だった頃の健診の記録が出てきたので、この時点で尿に淡白が出ているからすでに腎臓に異常があったと主張でき、障害厚生年金と障害基礎年金の両方(年額約150万円)が支給された。

※日本の障害年金制度は初診日主義という形をとっており、すべての基準が初診日となっています。障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金(障害共済年金)の2種類があり、初診日が国民年金の期間であれば、障害基礎年金しか受給できませんが、初診日が厚生年金に加入している期間にあると、(2級以上に該当すれば、)障害基礎年金と障害厚生年金の2種類が受給できるようになります。また、障害基礎年金では受給できない軽度の障害でも障害厚生年金のみ受給できるケースがあります。(障害等級3級)

初診日とは、基本的に医療機関に受診された初日ですが、健康診断で異常を指摘されたのであれば、健康診断を受けた日を初診日として取り扱うことが可能です。

(1)初診日に加入していた年金によってもらえる年金が異なる。
(2)初診日に前日の時点で、一定の保険料を納付している必要がある。
(3)初診日までに支払った保険料で年金額が決定される。(障害基礎年金を除く)

 このような影響がありますので、健診結果は大事に保管するようにしてください。                   
(スマイルグループ 社会保険労務士)



投稿者 イケダ労務管理事務所

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