労務ニュース スマイル新聞
2008年9月23日 火曜日
平成20年9月23日(第226号)...「名ばかり管理職」にご用心!
今年の初めに、マクドナルドの店長に関する裁判があり、店長を管理監督者として認めず、残業代を支払うよう会社側に命じる判決が出ました。あくまで地裁レベルの判決ですが、これにより労働基準監督署の動きが変わってきました。昨年まではサービス残業の問題を中心に監査をしていましたが、今年から「名ばかり管理職」の取締りを中心に監査していくことになったそうです。ある労働基準監督署の次長によると、「京都でもマクドナルドのような業態の会社を含めてどんどん監査します。」とのことでした。皆様の会社におかれましても、十分にご注意ください。また、その次長の話ですが、「最近の労働者さんは権利意識が強くなり、以前は是正勧告に入るだけで感謝されたのが、時効になっていない2年分の残業代を支払うように是正勧告しないと、苦情の電話がある。」とのことです。その流れを受けまして、「名ばかり管理職」と指摘された場合は、2年分の残業代の支払命令が出ます。景気が後退局面になっていますので、今後の資金繰りに影響をあたえかねません。今のうちに見直しをしておいてください。
次に、裁判長が管理職としてみなせるかどうかの判断をした基準を示します。ご活用ください。
(1)職務内容、権限及び責任に照らし、労務管理を含め、企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか
(2)その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か
(3)給与(基本給、役付手当等)及び一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか否か
これらは、以前から労働基準監督署が示していた基準と、ほぼ同じです。今後は、監督署としては、(3)を中心に判断することになる予測です。私の元勤務先でも見られたことですが、課長に昇格したので、年俸制に変わり残業代がつかなくなった結果、基本給等は上昇していても、年収が下がってしまうというケースがありました。監督署とすれば、こういったケースは(3)に違反しているので、すべて「名ばかり管理職」として判断することになります。このような指摘を受けないように、今のうちから対策をしておいてください。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所