労務ニュース スマイル新聞
2008年5月 8日 木曜日
平成20年5月8日(第217号)...労働基準監督官による臨検とは
臨検監督とは、労働基準監督官の事業場への立ち入り調査のことで、労働基準法第101条において、行政上の権限として認められているものです。
臨検には、各々その臨検の背景があり、(1)定期監督、(2)労働者の申告、(3)司法手続きとしての告訴のいずれによるものなのかなどを把握することが重要です。
原則として臨検は、事前に日時や必要な帳簿・書類などが知らされることが多いですが、書類の改ざんのおそれがあるときは抜き打ち臨検もあります。また、サービス残業の実態を把握するための夜間調査もあります。
具体的な調査方法としては、ビルの入出管理簿に記載されている入出時間と、タイムカードや自己申告書に記入された終業時刻との差異、パソコンに記載されているオン・オフの時間の履歴確認など具体的な労働時間管理、さらに時間外労働の賃金支払の有無、各種労使協定の作成・届出、社員の健康診断の実施など様々な内容の調査が行われます。
参考)「労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関する基準」
(基発339号 平成13年4月6日)
是正勧告書とは、労働基準監督官が、法違反に該当すると判断した事項を記入し、是正するよう勧告するために交付する文書です。これは命令書ではなく、勧告書ですから、事業主側は是正することを義
務付けられることはありません。しかし、強制力がないからといって勧告に応じなければ、労働基準監督署は、法違反として捜査のうえ警察庁に送検することがあります。これはあくまでも、法違反として送検するのであって、勧告に応じなかったことを理由として送検するのではありません。
<是正勧告の例>
1.労働条件の明示(労基法第15条)
新規採用者に対し、労働条件通知書等の労働条件を明示した書面を交付していない。2.健康診断(労働安全衛生法第66条、規則第44条)
常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行っていない。
3.時間外労働等の割増賃金(労基法第37条)
割増賃金の算定基礎となる賃金に役職手当、皆勤手当等を加算していない。
4.就業規則の作成・届出(労基法第89条)
常時10人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出ていない。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所