労務ニュース スマイル新聞
2002年8月 8日 木曜日
平成14年8月8日(第79号)...固定資産税の負担軽減問題
平成15年度が課税の基準になる評価額の三年に一度の改定年にあたるため、国土交通省や経済界は税制改正の柱として商業地を中心とした負担の軽減を要望する方針ですが、総務省は財政難の市町村の税収が減ることを警戒して負担減に消極的です。
固定資産税の評価替えでは、税負担に地価の変動を反映させるため、不動産鑑定士の鑑定評価額を基に三年に一度全国の土地すべてを評価し直します。
評価額は鑑定評価額(公示価格ベース)の約7割で、さらにその60~70%(負担水準という)、つまり公示地価の42~49%を実際に課税する際の課税標準額となっています。
国土交通省は固定資産税の負担の重さが不動産市況の悪化の一因になっているとして課税標準額の算出基準の見直しを要望する方向で調整しています。また、日本経団連も負担水準を50%台に引き下げるよう求めることを検討しています。
一方、総務省はこれからは地価の下落に伴って税負担も下がり、また固定資産税など土地の保有コストを軽くしないことが不動産の有効活用につながるとしています。
上場453社が土地再評価を実施
賃貸ビルや工場などの事業用土地を時価にし直す土地再評価を実施した企業が01年度だけで280社に上り、累計で上場企業の二割の453社に達しました。土地再評価は02年3月末までの時限措置で、特定の土地だけを選別的に再評価の対象にすることはできず、保有するすべての事業用土地が対象となるため、土地の含み損の一掃によって財務内容の透明性が格段に高まるとともに従来から含み益に頼ってきた経営もできなくなり、収益力がガラス張りになります。
再評価が急増したのは、固定資産の減損会計が06年3月期に導入されることが確実となったためで、減損会計では、値下がりした固定資産だけを対象に簿価と時価の差額を損失として計上する必要があるのに対して、土地再評価は含み損と含み益を相殺できるだけでなく、差額を期間利益に反映させる必要がないため、企業にとっては収益に影響がでない利点もあります。 (担当 スマイルグループ不動産鑑定士)
投稿者 イケダ労務管理事務所