労務ニュース スマイル新聞

1999年10月23日 土曜日

★第12号(10/23)精神障害・過労自殺...労災認定に新基準★

 労働省は、働く人の精神障害や過労自殺に関する労災認定基準の指針を全国の労働基準局や労働基準監督署に通達しました。
7月に同省の専門検討会がまとめた基準に基づき精神障害の対象を世界保健機関(WHO)の提唱する新たな分類を使い、労災対象をすべての精神障害に拡大したのが特徴です。
過労自殺については、業務が原因で正常な認識や抑制力が阻害された状態での自殺を対象にしました。
 これまで精神障害などの認定作業はすべて労働省本省が進めてきたが、指針にはストレスの度合いを測る「ストレス評価表」や効率的に判断ができるフローチャートを付け、監督署独自に調査、判定ができるようにしました。

1.業務上と認定する要件
 ・対象疾病に該当する精神障害を発病している
 ・発病前の六カ月間に仕事により強いストレスがあった
 ・業務以外のストレスや既往症、アルコールヘの依存などがなかったこと
その上で、ストレス後の極端な長時間労働などを考慮、総合的に判断するよう求めています。

2.企業の健康配慮義務
 精神障害・過労自殺の認定基準の通達によって、認定の判断作業は末端の労働基準監督署にゆだねられ、認定までの時間短縮とともに認定件数も増加、遺族などへの救済が図られるものと期待されます。
 最近の過労自殺では遺族が労災請求をすると同時に損害賠償を求め企業を相手取って提訴する事例が増えています。
 労働安全衛生法では、企業は労働者の健康に配慮する義務を負います。過労自殺の認定は、企業の配慮が欠けていたことを国が認めたことにもなり、企業が自らの配慮を立証できない限り損害賠償訴訟で企業側に不利に働きます。

    このため、メンタルヘルス面で、しっかりとした対応をしない限り多大なリスクを負う、ということを企業は認識する必要があります。


投稿者 osaka-genova.co.jp

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